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前置き ゆっくりのセリフに読みやすくなる程度に度漢字を使用しております 大きさ補足[赤ゆ=ビックリボール 通常種=ソフトボール ドス=バスケットボール 小型種=野球ボール 巨大種=バランスボール] 作:メトロイドマホロイド 「長ぁ、今度はれいむのちびちゃんが帰ってきてないよ!」 「みょ!? あれほど遊ぶときは大人が近くで見張ってろって、言ったのに何してるみょん!」 長みょんがまとめる群れでは、ここ最近子供の失踪が頻発していた この群れの総数は300を超える大所帯である、そのため過去に何度か迷子の捜索もしたことがあった だから最初は長みょんも、この連続失踪の最初のうちは子供の迷子だと思っていた しかし毎日と言ってもいいほどのペースで子供がいなくなる 最初の失踪から1ヶ月、知能の高いぱちゅりーでなくてもおかしいことに気づくゆっくりは多くなっていた 「れいむのちびちゃんどこ行ったのー!!」 森にゆっくりの大声が響く 100匹近いゆっくりが、子供が居なくなるたびに詮索をしているのに、今まで一度も子供が発見されたことはなかった 「ゆぅ、どうせ見つからないんだしもう寝ようよぉ」 「まりさも眠たいよぉ・・・」 数匹のゆっくりが早く帰って寝たいとつぶやく、探索を行うようになって1ヶ月、ほぼ毎日の徹夜である そのせいで日中に行う狩りの時間帯を睡眠に回しているため、満足に食事もできてないゆっくりは多い それにゆっくりにとって夜とは危険が多い時間帯でもあるのだ 「れみりゃだぁああああ!!!!」 「やべでぇ! だべないでー!」 「うっーうっー、ご飯がいっぱいだどー」 「ふっー! ゆっくりはふらんに食べらとけぇ!!!」 群れに突然悲鳴があがる れみりゃと胴付きふらんが狩りを開始したのだ 「みょ、みょん!? やばいみょん! れみりゃとふらんの狩りの時間になってたみょん!」 れみりゃとふらんは夜行性だが、活動開始時間は日が落ちて数時間後と遅い 夜行性といえど、ゆっくりであるが故にゆっくりした時間が必要なのだ 長みょんもその事を把握していた しかし、毎日の子供の失踪と、それを防げない自分の不甲斐なさが焦りを生み、このことを失念させていた 「みんな家に戻るみょん!」 「ゆっくりしてないで逃げるよ!」 「ばでぃざぁああああ、だずげでぇ!!!!」 「いぎゃああああ!!!! でいぶをだべないべぇえええ!!!」 すぐに家に帰れと指示をだすが時すでに遅し、3匹のれいむが捕まってしまった みょんは通常種最強と呼ばれる戦闘能力を持つ、しかし長と呼ばれる実力を持っていたとしても捕食種に勝てるものではない しかも、ふらんは胴付きである、空を飛ぶうえに手足があるという戦闘能力は、みょんと言えど簡単に返り討ちにあってしまう 「ゆぎぃ!!!!!」 「ゆがががががががががががが」 れみりゃが噛み付いたれいむが断末魔をあげる 中身の餡子を吸い出すれみりゃの食事方法は、ゆっくりをすぐさま死へと誘った それに対し、ふらんはの食事方法は丸かじり 自分が食べられる感覚に声を荒げながら、ふらんの右手に捕まったれいむは息を引き取った 「やべでね、でいぶはおいじぐないがらたべ、ゆべぇ!?」 食べないで、そう懇願するれいむの口に空いた右手を入れ、ふらんは中の餡子をこねくり回していた 「ゆばばばばばあば、しゃべ・・・ひゃべで・・・」 れいむは涙を滝のように流しながら止めてと懇願する しかしその願いは届くはずもなく、れいむは死を迎えた 「ゆべっ」 「ふー、ハニーたべるんだぞー」 「うっーうっー、ダーリンの手料理美味しいどー」 料理、と言ってもゆっくりの中身の餡子をこねくり回し柔らかくしただけだ 捕食種はゆっくりを美味しくする方法を知っている事もあり、その事かられみりゃとふらんは少し変わった習性がある それはゆっくりを苦しめて味を向上させるという習性だ その方法は多種多様で、今回のように直接痛みを与えることや、家に監禁して家族を目の前で食べるなど、精神的に苦痛を与える場合もある そしてこの事をこの2種の間では手料理と呼ばれる 「れみりゃは先に帰って子供達にふらんの手料理をあげておくんだぞ」 「うー、わかったどー」 二人でディナーを楽しんだ後、れみりゃはふらんが作った手料理を咥えて巣に戻っていった 「ふらんはもうひと仕事するぞー」 「ゆ"!?」 狩りを再開しようとするふらんの目に、5匹のまりさとありすが目に入った この残っていたゆっくりは、食べられたれいむの家族である せめて遺品だけでも回収しようと、木陰から見守っていたのだ ここならふらんから見えない、そう思って隠れていたが、通常種と夜行性のふらんの夜目は見える範囲が違った ふらんから見ればこの5匹は頭も尻も隠していない状態である 「ふらんにゆっくりたべられろぉ!!!!」 「「「「「なんでばれたのぉ!? こっちにこないでぇ!?!!」」」」」 結局、1匹のまりさと2匹のありすが捕まり、ふらんの家に連れて行かれた 次の日の夜 今日も子供のありすが、日が落ちたというのに帰ってこなかった 探索に向かおうと、長みょんは群れの大人を集めたが、子を失った親以外は探索に行かないと言い張った 「れいむの子供がいなくなってないのに、何で他の子を探さないと行けないの」 「まりさは狩りで疲れてるんだよ。だから早く寝ないといけないんだよ」 「夜遅くまで起きてると肌が荒れてしまうわ。そんなの都会派には許されないってわかるでしょ?」 群れのゆっくりには限界がきていた ほぼ毎日の徹夜、日中にゆっくりできない事、捕食種への恐怖、そして昨晩の胴付きふらんの来襲 長みょんは群れのゆっくりを説得したが、子を失った親ゆっくり以外はけっきょく探索に行こうとしなかった そして今晩も消えた子供は見つからなかった ここは長みょんの群れから少し離れた崖の下にある洞窟 そこに2匹のゆっくりが暮らしていた 「今日のご飯は、ぱちゅりーの大好物の餡子のクリーム添えよ」 「むきゅ〜ん、ぱちゅりーの好みを把握しているなんて、さすがとかいはね!」 「あたりまえじゃないの、だって優秀なぱちゅりーの夫なのよ」 「そんなこと言われると照れちゃうわ、むきゅー」 ありすとぱちゅりーは、外からは見つけることが困難なこの洞窟に居を構えた 「「むーしゃむーしゃ、しあわせー」」 「さすがありすの愛妻料理ね、人間が作ってた料理に匹敵するほどだわ!」 ぱちゅりーの言葉、それは二匹が人間に飼われていた飼いゆっくりであったためだ ありすは生れ落ちたときからの飼いゆっくりだった 美味しい食事、温かい毛布、ゆっくりできる遊具、とかいはなゆっくりハウス 愛でと呼ばれる飼い主に飼われていた、ありすは幸せだった 文句があるとしたら "人間の躾" 程度 でも、その躾を守れば褒めてくれた、美味しいお菓子をくれた しかし成長したありすに思春期が訪れた 「ありすも家族がほしいわ・・・」 生まれて家の外に出してもらったこともなく、家のなかでゆっくりする日々 テレビとよばれる物の中にだけでしか、自分以外のゆっくりを見たこともなかった ありすは、ドラマに出てくるゆっくりの家族が羨ましかった そのドラマは人間の家族とゆっくりの家族を描いた大河ドラマ 『おきゃーしゃんの、しゅーりしゅーりとってみょきみょちいいよ!』 『おとーさんおかーさん喧嘩しないでー!』 『・・・ゆ? 高楽さんの家のれいむが、まりさの本当のおかーさん?』 『おかーさんは本当のおかーさんじゃないかもしれないけど、まりさのおかーさんだよ!』 どんな苦難も家族の絆で乗り越える姿にありすは憧れた それは物語の主人公になりたいという思いではなく、家族が欲しいという願いからだった 飼い主がぱちゅりーを連れてきたのはそんな時だった 「今日から一緒に住むことになったぱちゅりーだ」 「むきゅ〜、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!」 ありすの結婚相手がほしいと、飼い主が知り合いから結婚相手を貰い受けたそうだ ぱちゅりーは博識だった、しかしそれを鼻にかけることもなく、とても礼儀正しかった 気が合った二人はすぐに仲良くなり、夫婦となるまでさほど時間がかからなかった 数週間後、二匹には子供ができていた ありすが3匹にぱちゅりーが1匹 赤ん坊が、ちびと呼ばれるぐらいに成長してきた時、またもや突然1匹のゆっくりがつれてこられた 「ゆっきゅりしちぇいってね!」 「「ゆっきゅりしちぇいってね!」」 それは赤ん坊のれいむだった 初めての友達に子供達はすぐ仲良くなり本当の兄弟のようにすごした 赤れいむが連れてこられて来た理由は 「道端で倒れてたから、子供達の遊び相手につれて来た」 「れみりゃにおしょわれちゃんだよ!」 れみりゃに襲われたが、親が赤れいむを逃がしたらしい それを飼い主が拾ってきたというわけだ 「ゆっくり理解したわ!」 ありすとぱちゅりーもそれを理解し、赤れいむを家族として向かいいれた そしてそれは赤れいむが着てから1ヶ月ほどたった日であった 飼い主が帰ってきた目に飛び込んできた物、それはバラバラになったお気に入りの茶碗だった 壊した犯人はあの赤れいむだった 「ゆびぃいいいい!? いちゃいよぉおお!!!」 赤れいむは壊した言い訳を言う暇もなく、お仕置きを受けていた 台に赤れいむを固定し、定規を弾き、足を何度も叩くお仕置き 足はゆっくりにとって生活の全てだ、それは移動だけではない ご飯を食べる時に前かがみになるには足を使う、自分からすりすりするにも、この足では上下運動ができない 足、それを失ったゆっくりは口と目を動かすこととしかできなくなるのだ 「やめちぇぇえええ!!!! はんちぇいしましちゃからぁぁぁあああ!!」 「じゃあ何でお茶碗を触ったか聞こうか?」 「き、綺麗だったから、れいむはがまんできにゃかったんだよ! 宝物にしちゃかったんだよ!」 「人間の物にあたったらいけないって言ってたよね? もしあたったらお仕置きするって言ってたよね?」 「ゆ、ゆぅ・・・」 「また何か壊したらもっと痛いお仕置きするからね、わかった?」 「わかっちゃよ・・・」 お仕置きが終わって赤れいむは部屋に戻される、飼い主はありす達に連帯責任として3日間ご飯抜きを言いつけた 「ゆゆ!ありちゅ、しょんにゃにがみゃんできにゃいよ!」 子供達は抗議をした、しかし決定したことは変えないと言い返される 「あー、でも子供のぱちゅりーは3日食事抜くと死んじゃうかもしれないから栄養剤を食べさせてあげるよ」 それから3日後、なるべく動かないで体力を温存していた、それでも3日という食事抜きは長い 栄養剤を食べた子ぱちゅりー以外は全員げっそりしていた 「今日はご飯貰えるからね、ちびちゃん達はゆっくりお利口にしててね」 「「ゆっきゅりりきゃいしたよ!」」 久々に食事が貰えると聞いて子供たちは元気が戻ったのか、全員遊具ではしゃぎはじめた 「ゆっくりした子達でよかったねぱちゅりー」 「そうね・・・」 ぱちゅりーはぐったりしている、元々体の弱い種族だ、栄養が行き届いてる飼いゆっくりと言え、3日の食事抜きの負担は大きい 「元気を出してぱちゅりー、子供達もきっと言いつけを守らないことは悪い事だって理解してくれてるわ」 子供達も今回のことで言うことを聞かないとお仕置きがあることを理解しただろう これでもっと良い子になってくれる しかしありすとぱちゅりーの思いは最悪な形で壊れることになった 「みゃみゃーたしゅけてー!」 「ここきゃらだしちぇぇ!!」 「お兄さん子供達を出してあげて!」 「子供たちは悪ふざけをしただけなのよ、ゆっくり理解してね」 子供達が箱の中に閉じ込められている理由 それは10分前の出来事が原因だった 「3日間食事抜いたからな、ちょっと豪華にしてあげるか」 お仕置きとはいえ3日もご飯抜きにしたのだ 飼い主もこれに懲りただろうと、ちょっとだけ豪華なゆっくりフードとオレンジジュースを用意して部屋に入った 「お前達ゆっくり反省できたかな? 反省できた子には美味しい・・・」 「ばかな飼い主はゆっきゅりしにぇ!」 「え?」 パコン、そんな音と共に飼い主の足に何かがぶつかった それはスィーカー 上に乗り、前のボタンを踏めば前に、後ろのボタンを踏めば後ろに進む メジャーなゆっくり玩具の1つである その上にはありすの子供達と赤れいむが乗っていた 「おにーしゃんいたかった? れいみゅも、おしおきいたきゃったんだよ!」 「そうだよ! ありしゅの、とみょだちを、いじめりゅばかにゃ飼い主はゆっきゅりりきゃいしてね!」 「むきゅん! ばかな、かいにゅしは、いちゃくてうごけにゃいらしいわ! ぱちゅりーたちの勝利ね!!」 「「ゆっゆおー!」」 動かない飼い主を見て勝利を確信した子供たちは勝どきを上げている この作戦の発案者は言うまでもない、子ぱちゅりーだ 子供たちはお仕置きという物を理解していなかった、だから飼い主が友達をいじめたと勘違いしたのだ だから報復しよう、子ぱちゅりーは姉妹と赤れいむにそう言った 言葉を覚え始めた子ぱちゅりーは、覚えた難しい言葉が使い、ありすとれいむに報復を提案した 難しい言葉を使う子ぱちゅりーの言葉、子供たちはそれを凄いと褒め誰も疑わなかった その報復の方法はスィーカーで突撃すること 子ありすが生まれたての時に、スィーカーに誤って轢かれ、大怪我をした事を子ぱちゅりーは憶えていたのだ しかしそれは外皮の弱い赤ゆっくりの場合の話だ 「ちびちゃん達なにしてるのぉ!!!」 ありすは慌ててちび達をスィーカーから下ろし飼い主に謝らせようとする 「あやみゃるひつようにゃんてないよ! これはほうふきゅなんだよ!」 子供達は悪びれている様子がまったくなかった 自分は人間に勝ったんだ、自分は人間より強いのだ、自分より弱い相手に謝罪なんてする必要がない そんな状態の子供達はありすの言葉をまったく聞こうとしてなかった 「お兄さんゆっくり聞いてね! 子供達はちょっとおふざけがすぎただけなのよ・・・お兄さん?」 そこでありすは飼い主の異変に気づいた じっとありす達を見る目の異様な冷たさ それは、ありす達に完全に興味を失くし落胆した目だった そして何も言わずお兄さんは、子供達を掴みあげると箱の中、電子レンジの中に放り込んだ その後、電子レンジの前にありすとぱちゅりーをお兄さんは連れてきた 自分の子供の死に様を見せるために 「お願いします、子供たちを許してあげてください!」 「死ね」 冷たい言葉 優しい飼い主からはじめて聞く単語 どおしてそんな事を言うの? そんな問答をする暇もなく子供達の悲鳴が聞こえてきた 「ゆびぃいいいいいいいい!!?!??」 「が"が"が"が"が"が"が"が"」 「いじゃいよぉおおおおお!!!!」 電子レンジの中をみると、子供達が絶叫をあげながら苦しんでいた 助けようと電子レンジに体当たりをするがびくともしない 針で突付かれても、火で焼かれてもいないのになんで? その時、ありすはお兄さんに見せられた虐待テレビのことを思いだしていた それには、針を刺されるゆっくり、火で炙られ足を焼かれたゆっくり、飾りを壊されたゆっくり ゆっくりできない光景がそこにはあった 悪いことをしたらこれと同じ事をする、それがお仕置きだ、そう教えられた それが今まで良い子にしていた、お仕置きされたことの無いありすの知るお仕置きでもあった しかし目の前のこの箱は一体なんなんだ 子供たちは中に居るだけ なのに苦しんでいる ありすの理解の範疇を超えていた 「ゆ”っ!?」 ポンッ ポップコーンが弾けた様な音と共に、子ぱちゅりーの目が破裂する 「む、むきゅー!?」 「ばじゅでぃいいいいいいい!!!!!」 子ぱちゅりーの目が弾けたのを皮切りに、他の子達にも変化が現れた 「ゆべぇ・・・・」 長女のありすの体中からは、ドロリと餡子を吐き出し 「ゆびぃっ」 次女のありすは上半身が溶け、醜く歪み 「ゆびぃ!?」 三女のありすは子ぱちゅりーと同様に、量目がが破裂し 「ゆ”っ!?」 子れいむは、バラバラに四散した 「むびゅ・・・・」 「あ、あでぃしゅ!ばじゅでぃい!」 ぱちゅりーはその光景に耐えれきれずに気絶 ありすは、この世の物を見ているとは思えない形相で、レンジの中の子の有様を見ながら気絶した 「ゆ、ゆ!? ありす!?ぱちゅりー!?れいむ!?」 気がついたありすが、子供とその親友の名を呼ぶ きっとあれは夢だったんだ、そうに違いない しかしそれは、夢でなくは現実であった 「い”ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”!!??」 起きたありすの目の前にあったモノ それは物になった子供たちの姿だった 「ごべんで・・・ごべんべ・・・・」 謝りながら子にぺろぺろを施す こんなことをしても子供は生き返らない、その事をわかっていてもやらずにはいられなかった 数分後、ありすは落ち着きまわりを見渡す 近くにぱちゅりーがすごい形相でまだ気絶したいた それ以外は見たことの無い場所、でもその場所を何と言うかありすは知っていた ここが森という場所だということ、そして理解した、自分達が捨てられた事を 中編へ続く Q.おかしいことに気づくまで1ヶ月っておそくね? A.自分以外にあんまり興味のない餡子脳だとこれぐらいかなと 前の作品 「ゲスG誕生!」 「猟奇的に伺が。」 「ゆっくり実験所」 「ゆっくりの加工所?」 「きめぇ丸から愛を込めて」未完 「十虐十殺」
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※ぬるいです ※読みづらいと思われます さらさらと流れる小川で胡坐をかいて釣りをしている男がいた。春の陽気にあてられたのか、首がかくんかくんと舟をこいでいた。徐々に竿を持つ手の力が抜けてきて 先端が川に浸かってしまった。それでも男は目を覚まさなかった。 「ゆっくりしていってね!」 その声ではっとなって目を覚ました男は竿を引き上げて針につけていた餌がなくなったことを確認した。針の先に餌ダンゴを取り付けていた男は さっき声が聞こえたことを思い出して後ろに首を回した。 するとそこにいたのは黒い山高帽を被り、黄色い毛を生やし、子供の落書きのような顔をした丸っこい何かだった。人とも動物とも思えないそれと 関わるのは面倒と思った男は無視をして釣りを続けることにした。 黒くて丸い何かは男に無視されたことによほどご立腹なのか、男の近くで「ゆっくりしていってね!」と鳴きながら跳ね回っていた。それでも男は無視を続けた。 諦めたのか、その黒いのは跳ね回ることをやめてぴたっと止まった。そのままどこかへ行ってくれ、と男は願ったがその黒いのはどうやら釣った魚を入れた網に 興味が移っただけのようだ。川岸に小石で固定してある狭い網の中を泳いでいる魚に目を引かれ興味津々に近づいていった。網の重り代わりにしてある石を動かされて 釣った魚に逃げられたらたまらないと思った男は、黒いのを手で追い払った。その手から逃げて一旦距離をとった黒いのはそれでもどこかへ行かなかった。 「ゆっくりしていってよー!」 その後も近づいては追い返されを繰り返していたが、業を煮やした男が払いのけるように黒い帽子を叩いた。帽子が後ろの方に飛んで行った黒いのは 驚いて帽子をすばやく回収して被りなおした後、男の方を見てあたりを跳ね回った。 「ゆっくりしていってよー!ゆっくりしていってよー!」 こんな大声を出されては魚に逃げられてしまうと男は黒いのを掴んで投げてしまおうと考えた。釣り針を引き上げ、竿を地面においてその丸い顔の両脇を掴んだ。 だが投げなかった、あまりにも触り心地がよかったからだ。男はしばらくその頬の感触を堪能した。頬をこねくり回したり、強く押してみたり、 表情が変わる様子を見て楽しんだりした。 「ゆっぐっ…ゆっくりぃ…ゆぅ…ゆっゆっ…」 男はひとしきり遊んだ後、閃いた。黒いのを草が生えている場所に置き、その上に自分の頭を置いた。枕にちょうどいいと考えたのだ。黒いのは逃げようと 躍起になって暴れていたが疲れたのかしばらくするとおとなしくなった。先ほどの眠さも相まってすぐに男は眠りに落ちた。 「ゆぐぐぐぐ…ゆっぐり゛ぃ…ゆっゆゆゆゆゆ…ゆっ!」 何度かもぞもぞと動き、やっとのことで男から離れることのできた「まりさ」は一度も振り返ることなく、急いで逃げ出した。が、途中で帽子が脱げて その度に拾いに戻ることを何度か繰り返した。 男は結局、日が暮れるまでそこで昼寝し続けた。 木漏れ日で明るく照らされた林道を額や首に浮き出た汗をふき取りながら歩く女がいた。久しぶりに両親に会いに行った帰りだった。本当は孫の顔を 見せたかったが幼子には長い道中、しかも夏の日差しで体調を崩しかねない。よって子供を夫に預けて一人だけで里帰りをしてきたのだ。この林道を抜ければ 家はもうすぐなので我知らず歩みが速まり、頭の中は目に入れても痛くないほど愛しいわが子のことでいっぱいだった。 「ゆっくりしていってね!」 急に声をかけられ歩みを止めた女は足元から声がしたような木がしたが周りに人の姿は見えない。気のせいか、とまた歩き始めると 「ゆっくりしていってね!」 また声がした。声のする方を見るとお地蔵様が立っていた。まさかお地蔵様が?とじっと見つめた。 「ゆっくりしていってね!」 地蔵からではなかった。さらに下の方から声がした。そこには黒い髪を生やしてその後ろ髪を紅白の大きなリボンで飾り付けている奇妙なものがいた。 何がそんなに誇らしいのか眉を逆ハの字にして見上げている。それはまるでお供え物の饅頭のようにお地蔵様の前に鎮座していた。 「ゆっくりしていってね!」 また鳴いた。これが鳴き声なのだろうか、ためしに女は鳴きまね、といってもほとんど人間の言葉だがゆっくりしていってね!と言った。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 返されたのがそんなに嬉しいのか、跳ねながら何度もそれは鳴いた。 これには女はうっかりときめいた。彼女はとかく、猫や子犬など愛くるしい生き物が好きだった。この不可解な饅頭もどきも可愛いと感じてしまった。 撫でてみたいと思ってしまったら既に手はそれの上に伸びていた。手を警戒しているようだが逃げ出す気配はない。女はその場でかがみこんでそれの髪に手をやり、 撫で始めた。 「ゆぅ…ゆっくりしていってね」 撫でられる感触を楽しむように目を閉じて喜んでいるように見える。辛抱ならなくなった彼女は撫でていた手を放し、抱えてひざの上に置いた。手が離れたことを 不思議に思ったがその饅頭もどきは宙に体が浮く感覚を楽しんでいる様子だった。さらに輝くような笑顔を見せるそれの頬をつまんでみた。予想をはるかに超越した そのやわらかさと滑らかさに心奪われてしまった女はさらにぐにぐにと引っ張った。 「ゆっくひぃゆっくりひぃっゆっく…ゆっぐり゛ぃ゛!ゆっぐり゛い゛!」 つい力が入りすぎたか、それは泣き出してしまった。あわてて女は謝りながら頬をさする。 「ゆっくりっ…ゆっくり……ゆっくりしていってよ!」 次第に泣き止んだそれは頬を膨らませて怒っているような態度をとった。その後、女のひざから飛び降りたそれは地蔵の方角、林の中へと跳ねていった。 女はお持ち帰りしたかったなと考えていた。紅白の饅頭「れいむ」は女を一瞥したあと林の中へと去っていった。 落ち葉降り積もる森の中で一人の少年が木を見上げて木の枝を振っていた。その木にはたくさんの木の実がなっていた。それが取りたくて棒で取ろうと考えたのだが 少年の背丈ではぜんぜん届かなかった。手に持っている木の枝より長いものは見当たらない。ならばと今度は木を揺らしてみることにした。木を思いっきり蹴ってみて 揺らしても実は落ちてこなかった。次に少年は助走をつけて全体重を乗せて体当たりしてみた。今度こそ木は大きく揺れた。肩の痛みに顔をしかめつつ、 少年は見上げた。が、視界いっぱいに広がる何かが降ってきた。避けることもままならずに少年は何かが顔に当たった衝撃で後ろに倒れこんだ。 顔面の痛みで泣きそうになるのを必死でこらえていた少年はにじむ世界の中、降ってきた何かが目にとまった。それを拾い上げた少年の心は痛みで泣きそうに なったことや、それに対する怒りよりも、これは一体なんなのかという興味が勝った。 それは桃色のよくわからないものがくっついていて、青い毛が生えており、一部が皮膜のようなもので覆われていて、全体的に柔らかかった。これはなんだろう、 誰かが木の上においていったのだろうか?少年は尽きることを知らない疑問でわくわくしながら皮膜がはがれることに気付いた。どきどきしながらはがしていくと 手に持っていた何かがぴくっと反応した。次の瞬間には皮膜が勢いよくはがれ、なかから笑い顔をして牙を覗かせる何かの顔を見ることができた。 「うー♪」 楽しそうに鳴くそれを見て、少年はますますわけがわからなくなった。皮膜のようなそれは羽で蝙蝠のものに良く似ているが、蝙蝠はこんな変な顔をしていない。 あれこれ考えているうちにそれは両脇に生えた小さな羽でパタパタと飛び始めた。まさか飛ぶとは思わなかった少年は度肝を抜かれ、口を開けながら見上げていた。 「ぎゃおー♪」 ある程度高くまで飛び上がるとそれは少年に向かってきた。先ほどの顔の痛みを思い出した少年はさっと避けた。と言ってもそれは蝶にも劣る速度で飛んでいた。 あっさりと避けられたそれは勢い余って地面に突っ込んでいった。落ち葉の上をずざざと滑りながらそれは止まった。 「うー!うー!」 なんとも情けない声で泣きはじめたそれを少年は後ろから上と下を挟むようにして掴みあげた。羽を大きく羽ばたかせ、あらん限りの力で暴れたが少年も 放してなるものかと対抗していたが、腕を大きく振り回されていた。 「うー!!うー!!うー!!うー♪…うっ?」 やっとのことで少年の手から逃れたそれは頭の上にあったはずのものがないことに気付いた。一方、少年は手の中に残った桃色の何かを眺めていた。 取れるとは露とも思わなかった、それにこれは何か布切れっぽい感触がするな、と考えていた少年はまたこちらに向かってくるそれを避けた。 先ほどのような満面の笑みはなく、あわてている様子だった。しばらく避けているとどうやら桃色の布めがけて飛んでいることに気付いた少年は走り出した。 このまま家までついてこさせて母に見せてやろうと考えたのだ。 「う゛ー!!う゛ー!!ぎゃおー!!」 走っていってしまう少年を「れみりゃ」は両目から滝のように涙を流して虚勢を張りながら必死に羽を羽ばたかせて追いかけていった。 深々と雪が降り、あたり一面を銀の世界に染めてゆく。それと同時に地面も植物も隔てなく凍りつかせる無慈悲な寒さの冬。 そんな世界とは程遠い囲炉裏の火に暖められた室内で男は寝転がり、物思いにふけっていた。この家は自分が独り立ちしたときに建ててもらったもので 嫁を貰うまではずっと一人で暮らしてきた。やがて結婚し二人になり、子供もできてあれほど狭いと思っていた家だったが子が巣立ち、妻に先立たれて これほど広かったのかと思い知った。そして一人だけの冬を迎えた。はじめこそなんでもないと考えていたが、いざ迎えるとなんとも孤独だった。 とにかく人と話したかった。それで少しは紛れるだろうか、だがそれは叶うことはない。男の心は空虚だった。 その時、家の戸を誰かが叩く音がした。男は喜んだがなんとなく恥ずかしくなり、声に感情が出ないように注意してどなたかなと尋ねた。 誰も答えなかったが戸はまだ叩かれている。なんなんだと思いながら男は戸に立て掛けてあった用心棒をはずし、外に顔を出した。 「「ゆっくりしていってね!」」 そこにいたのは黒い帽子を被ったのと、大きなリボンをつけた「ゆっくり」とか呼ばれるけったいなものだった。これが噂に聞くゆっくりかと男は二匹を眺めた。 外はこんなに寒いというのに白い息一つ吐いていない、呼吸をしていないのだろうか。そして二匹の上には降り積もった雪が乗っかっていて見ているこっちが寒くなる。 そして男は何事もなかったかのように戸を閉めた。途端に叩かれる戸。喧しいと感じた男はまた戸を開けて二匹を睨んだ。 「「ゆっくりしていってね!」」 また同じ言葉を繰り返す二匹を男は掴みあげて遠くに放り投げた。雪の中に半分ほど仲良く埋まる二匹。清々した気分で家の中に入っていった男は しばらくした後にまた戸が叩かれる音にうんざりした。 腹が減って晩飯の用意をしているときもまだ叩かれていた。 食べているときも戸は揺れていた。 酒を片手に晩酌しているときに二匹が「ゆっくりゆっくり」と言いながら戸を叩いていることに気がついた。 眠くなってきて寝ようと思って布団を敷いていたときにとが叩かれていないことに気がついた。やっと諦めたかと男は眠りについた。 夜が明け、布団の中でもぞもぞと寝返りをうって男は目が覚めた。喉の渇きを覚えたので水を貯めてある瓶から柄杓で水を掬おうとして残りわずかなことに気がついた。 まずは家の外にある井戸から水を持ってくるとしようと、男は桶を片手に戸を開けた。吹き込む寒さに体をぶるっと震わせて男は遠くを眺めた。 遠くに見える山々は白く化粧がされていて、空はどこまでも澄み渡る蒼だった。そんな調子で足元を見なかった男は指先を何か固いものに打ち付けた。 桶を落とし、痛む指先に手をやり、屈んで始めて男は目の前のものに気付いた。 なんとそれはあの二匹であった。だが全く動かず、両目は閉じられていた。手で触ってみると氷のように冷たく固かった。まさか凍りついてしまうとは 思わなかった男はちょっとした罪悪感から両手を合わせ、二匹の冥福を祈った。そして二匹を日のあたる場所に移動させて、男は井戸へと向かった。 白い息を吐きながら男が井戸から水を引き、桶へと入れていると 「「ゆっくりしていってね!」」 驚いた男が急いで二匹を置いといた場所に目を向けるといたはず、いや、あったはずの場所には何もなく、周りを見渡しても影も形もなかった。 理解の範疇を超えてしまった男はその場で固まっていた。 家の軒先に垂れ下がっていたツララが折れて、地面へ深く刺さった。 ~あとがき~ 唐突にゆっくりしていってね!ぐらいしか話せないゆっくりが書きたくなった、やっぱり難しい。 ちなみに舞台はそれぞれ四季を意識しており、自分が好きな情景を描いてみました。 なんというか、拙いですね、申し訳ない。 書いた奴『オマケ』 蛇足 敷き詰められた紅葉の中で二匹のゆっくりが頬を寄せ合い眠り、もといゆっくりしていた。 その二匹は「みのりこ」と「しずは」という、秋限定で現れるゆっくりだった。二匹は心の底からゆっくりできてとても幸せだった。 だがみのりこが不自然な揺れに気がついて落ち葉からそっと顔を覗かせた。そこには木の枝を持っている男の子が一人いた。何がしたいのかはわからないが こんな近くで飛び跳ねられてはこちらはたまったものではない。しずはを促してみのりこはそっとそこから離れることにした。だが時既に遅し。 男の子が倒れこんできて、慌てて二匹は避けようとしたが間に合わず、みのりこは男の子の背に押され、落ち葉に埋まり、しずはは男の子の後頭部と地面に挟まれ 「ぐげ」とヒキガエルのような声を出して潰れた。 しばらくして男の子がどこかへ行くと、やっと回復したみのりこがのろのろとしずはのところに行くと男のが軽かったおかげか無事なようだが目に涙を浮かべ、 ぷるぷる震えていた。みのりこが頬を当てるとしずはのダムが決壊した。みのりこが頬を擦ったり、涙を舐め取ったりして慰めたがしずははなかなか泣き止まなかった。 やっとのことでしずはが泣き止むと二匹はゆっくりできる場所を求めて、森の中を仲良く跳ねていった。 このSSに感想をつける
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戻る マジキチ きがくるっとる -- (名無しさん) 2011-01-17 21 34 19 なんで梓ばっかり変なのかが気になる -- (名無しさん) 2011-01-17 21 40 06 スレタイミスのせいでwww -- (名無しさん) 2011-01-17 21 41 04 これマジで実話なのかよ? 苦労するなあ・・・ -- (名無しさん) 2011-01-17 21 43 09 志村ー、スレタイスレタイ -- (名無しさん) 2011-01-17 21 45 55 なんだ唯梓かー -- (名無しさん) 2011-01-17 21 56 24 あずにゃんダンス見てえ…… -- (名無しさん) 2011-01-17 21 58 40 移動でよくね? -- (名無しさん) 2011-01-17 22 00 19 みんないつも通りだ・・・・・・・・・・・あはは。 -- (通りすがり) 2011-01-17 22 39 58 これ読めたもんじゃないわ…… 病気の説明がしたいならことあるごとにしっかり説明しろよ、状況が把握できんわ 台本形式じゃ無理があるんだよ。一度病気体験記関連の本をすすめる -- (名無しさん) 2011-01-17 22 47 17 やっぱりキツイですか? 移動の件は一日意見待ちで -- (管理人) 2011-01-17 22 54 38 ぜったいにおかしいだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ -- (名無しさん) 2011-01-17 23 02 58 SSに常識求めちゃ駄目だよ。 -- (名無しさん) 2011-01-17 23 04 13 ??? -- (名無しさん) 2011-01-17 23 36 49 場面転換が急過ぎて終盤の展開が解り難い まあ妄想と現実とを曖昧なものとする意図をもって場面の急激な転換を行っているのだろうが…… しかし、既に言われている通りこれは移動対象ではないでしょうか -- (名無しさん) 2011-01-17 23 40 43 何かなー……ちょっと見てて痛々しい。 要するに雛見沢症候群に唯と澪が掛かった、的な話だよな。 事実を元にした、とか言われても、何故それを、けいおん!で再現したのか……やたらと梓がオカシイ扱いで腹が立った。 文章力もちょっと……最後の方の場面転換が訳分からんかったよ。 -- (ごはんはおかず) 2011-01-17 23 53 26 お大事に……(´;ω;`)ブワッ -- (名無しさん) 2011-01-17 23 57 07 澪の口調が全体的に把握できてない「〜かよ」とか「くそ」とかもうね…にわか過ぎる -- (名無しさん) 2011-01-18 00 03 56 ひぐらし思い出した -- (名無しさん) 2011-01-18 01 55 58 作者さんお大事に…>< 統合失調症の話であることは途中でわかる。場面の切り替わりについての指摘は、作者の意図的なものだろう。統失とは現実の認識が極めて困難になるそういう病気であるからして。 終わりは清々しいものなのに、なんでこんなに叩かれて居るのやら。 -- (名無しさん) 2011-01-18 02 25 05 感情的なレスが多いな、話が話なだけに、どのキャラをどう扱おうが作者の裁量だろうと思うが。 あと統合失調症のことを雛見沢症候群ということばで説明するのは適当ではない。 -- (名無しさん) 2011-01-18 02 33 52 いがぐりをくらうですっ!の辺りはばかにゃん可愛いぐらいにしか思ってなかったけど後半は何だか怖かった 澪がどうなってるのか分からなかったし想像も出来なかったから自分も雛見沢症候群が頭に浮かんだよ 周りにこういった病気に悩まされてる人がいなかったから知らなかったんですけど大変な病気なんですね 作者さんはお大事にして下さい -- (名無しさん) 2011-01-18 06 04 51 な、なんだこれは……こんな結末なのも実体験設定なのも全て俺の妄想なのか…? -- (名無しさん) 2011-01-18 06 19 13 補足読まないと分からなかった。 が、一つだけ言いたい。 律の血管は大丈夫か? -- (名無しさん) 2011-01-18 08 36 54 面白かったよ~。 -- (名無しさん) 2011-01-18 12 19 40 大変だな… -- (名無しさん) 2011-01-18 12 53 23 律は切ないだろうな -- (名無しさん) 2011-01-18 18 53 45 コワイ・・・ -- (八百屋) 2011-01-18 19 23 14 まさか唯も澪も糖質とはな。 二人ともとは思わなかった。 -- (名無しさん) 2011-01-19 01 28 57 実体験を伝えたいんだろうけど、はっきり言って伝わってきません 台本でやることが失敗かと。病気の体験記読んで書き方を学んでから、地文で書き直せば受けるかと -- (名無しさん) 2011-01-20 00 39 55 妙に叩かれてるけど、病気の説明のためのSSじゃないんじゃないの? 何がおきてるか分からない感覚は共有できたし 最後のメッセージもいい 文章も構成もうまいと感じた ひぐらしは知ってても精神病を常識として知らない世代が多いからか? -- (名無しさん) 2011-01-21 14 35 58 全然意味わからないし、病気とかひぐらしのパクりだし ちゃんと本とか読んで書けよ!作者はグズ、 -- (名無しさん) 2011-01-21 15 07 41 今月のMVP -- (名無しさん) 2011-01-22 14 20 35 空想アニメと現実に起きた事を一緒にする時点で無理がある このSSも作者の妄想なんじゃない? -- (名無しさん) 2011-02-19 16 55 50 あずにゃんダンスの件とか、作り物っぽいかな。本物のアウトサイダーならもっと違和感あるだろうし。 ただ、スレタイはイッテる感あるな。意味不明の間違いしてるし、これを実際にあった事例と銘打つセンスが、訳わからん。 -- (名無しさん) 2011-02-23 02 28 03 唯の「絶対に証明できない本当」って言葉がよかった…… -- (名無しさん) 2011-05-29 22 31 47 実に面白かった、「実」だけに -- (渾身のギャグ) 2011-05-30 13 15 54 フツーに狂気を感じられる作品。面白かった。 -- (名無しさん) 2011-06-18 22 08 37 ここのコメントをすべて見ればわかるけど、このSSには仲間を呼ぶ力があるようです。 閲覧注意。 -- (名無し) 2011-09-26 00 12 52 要するに、薬は決められた量を飲め、と言うことだな。 -- (名無しさん) 2011-09-27 07 33 35 なんでこんなたたかれてんの? それなりに面白かったし、ひぐらしのぱくりとか言ってる奴はちゃんと最後まで読めよks -- (名無しさん) 2011-09-29 07 13 00 統合失調症がひぐらしのパクりとか本気で言ってんのかな? 本気だとしたらかなり痛いな -- (名無しさん) 2011-10-22 13 47 00 スレタイで忌避していた作品だったが読んでみると中々どうして面白かった 目が回るような独特の感覚が味わえたな その上ラストシーンは結構さっぱりしていて不快感はあまり残らない -- (名無しさん) 2012-02-26 03 04 58 ふーっ………… わかんない! -- (名無しさん) 2012-03-20 02 26 43 まさかの展開でした。面白い。 -- (名無しさん) 2012-05-03 02 09 30 このSS、地の文で事細かに病気の説明なんかしてたら絶対白けるよな 不安を煽るつくりやだんだん全体像が見えて来る展開だから不思議な魅力があるんだろうに そこを叩いてるのは糖質というよりアスペか? -- ( ) 2012-10-09 01 52 40 いがぐりwwwあずにゃんダンスwww -- (名無しさん) 2012-11-10 21 19 42 マジキチ系と一言で言っても、残虐なだけのものもあれば奇怪すぎるものもあるが、こういうのは興味深い。 -- (名無しさん) 2013-01-24 01 08 12 ビューティフルマインドという映画が統失の病状に詳しい -- (名無しさん) 2013-01-26 05 11 28 初見で状況が分かりにくい等たたかれる要素もあるが、総じて新鮮。 作者氏の経験に基づいてるところが凄い。 -- (名無しさん) 2015-12-25 23 27 58
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※ドスまりさ警報 責任のある者とない者 ドスまりさとその取り巻きのゆっくり達 力のある者とない者 水橋パルスィは楽しそうに暮らすこの連中が腹立たしくて仕方なかった。 ドスまりさが群の平和を守る事に努力を惜しまないように、パルスィもまた群の平和を壊す事に努力を惜しまなかった。 全員に何かする必要なんて無い。とある者の理性の箍を外してやれば良い。理性を失わせるには嫉妬がちょうどいい。 「なんで、ドスまりさのいうこときけないの!!」 珍しくドスまりさは怒っていた。 赤ちゃんゆっくりまりさがまた勝手にご飯を食べてしまったのだ。 「だって、おかなちゅいたんだもん。ゆっきゅりたべていいでしょ?」 「ダメだよ!これからふゆごもりなんだからえさはどれだけあってもたりないんだよ!!」 越冬、ドスまりさの管理する群では効率的に餌を集め、集団で冬眠する事から、その成功率は高い。 しかし、油断はできない。餌不足は争いを生む。それは群の存続を不可能にさせる。 ドスまりさは夏の終わりごろから口酸っぱく、皆に食糧の備蓄を呼びかけてきた。 それなのにこの赤ちゃんゆっくりまりさは無責任にも自分の事しか考えない行動に出たのだ。 ドスまりさにはそれが許せなかった。そんな行動をできる事が許せなかった。 自分がどれだけ苦労して食糧の備蓄をしているか、それなのにこの赤ちゃんまりさは。 自分はドスで群の長で責任があってちゃんとしなければいけなくて、 この無責任で自分勝手な赤ちゃんまりさが羨ましい。 その日を境に群はおかしくなっていった。 ドスまりさは次第にわがままになり、備蓄していた食糧もどんどんと食べてしまった。 心配したゆっくりたちが声をかけるが、それに怒鳴り散らす始末。 「ドスまりさのかってにさせてね!!」 取り巻きのゆっくりたちはかつての責任感があって、皆に優しいドスまりさを懐かしんでいた。 今はと言うとまるで何も知らない赤子のようだ。 このままでは越冬どころか、冬までに群が全滅してしまう。 まず群に起こった変化はまだドスまりさにリボンや帽子を預けていないゆっくり達の逃亡だった。 群の中では新参者でさっさと群を捨ててしまった。 ドスまりさにリボンなどを預けてしまっているものはこうはいかない。 普通なら理由を説明しリボンを返してもらうか、ドスまりさに改善してもらう場所を指摘し改善してもらうかの二択なのだが、 このドスまりさはそのどちらも拒否した。最初、その態度に怒り帽子の返却を強く申し出たゆっくりちぇんがいたが、 あっさりドスまりさに潰されてしまった。 冬を目の前にし、本来ならもう冬の準備をはじめていなければいけない。 それなのにこの群では明日の蓄えすらもう残っていなかった。 何匹かのゆっくりはリボンを預けていたとしても逃亡した。一生、後ろ指を差されることになるが死ぬよりはマシだ。 残ったゆっくり達は結託してドスまりさを排除しようとしたが、力の差は歴然。 クスクスと笑い転げるパルスィ。 ああ、あの責任感溢れた子がここまで堕ちるものなのかと自分の力を褒める。 ドスまりさは一人ぼっちになった。 惨めな一人ぼっち。周りには仲間だったゆっくりたちの死骸が転がっている。 苦楽を共にした仲間はもういない。 そこへゆっくりれいむの家族がやってくる。 みんな、仲が良さそうな家族だ。 パルスィはまた力を行使する。 この仲が良さそうななゆっくりれいむの一家が羨ましい。 こうして、ドスまりさは冬に飢えて死ぬまで何かに嫉妬し続けた。 by118 このSSに感想を付ける
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その5より 「おおおにいさん!! きょきょきょうは、れれれいむをぎゃくたいしてね!!!」 翌日、れいむは男の足音が聞こえてくるや、男の言葉を待たずして、精一杯の声でそう叫んだ。 そうでもしないと、奮い起した勇気がいつ萎んでしまうか分からないからだ。 現に、今のれいむは朝から一度も震えが止まらなかった。 しかし、言ってしまった以上、後戻りはできない。する気もない。 自分の存在意義がかかっているのだから。 「ほう、ようやくお前の出番が来たか。待ちくたびれたよ」 男はさも嬉しそうに、扉越しに声をかける。 対して、まりさとありすは、何を馬鹿な事を!! と言わんような口調で、れいむに詰め寄ってくる。 「れいむ!! なにをいってるの!! ゆっくりばかなことはいわないでね!!」 「そうよ、れいむ!! れいむがぎゃくたいされることはないわ!! ここは、まりさととかいはのありすに、まかせておけばいいのよ!!」 まりさもありすも、予想通り、れいむを止めにかかる。 しかし、ここで虐待を止められるわけにはいかないのだ。 まりさと対等になるためにも。 ありすより先に、まりさにプロポーズするためにも。 「まりさ、ありす、ゆっくりありがとう!! でもれいむはへいきだよ!! きょうは、ゆっくりしていってね!!」 「ゆぅぅ!! うそつかないでね、れいむ!! こえがふるえてたよ!! れいむがいじめられることなんてないんだよ!! きょうはまりさにまかせてね!!」 「もうきめたんだよ、まりさ!! それに、いつまでもまりさとありすにたよってばっかりじゃいられないよ!! ゆっくりりかいしてね!!」 「れいむこそゆっくりりかいしてね!! れいむがいじめられること、ないんだってば!!」 「なんといわれても、れいむのかんがえはかわらないよ!! おにいさん!! ゆっくりはやく、れいむをつれていってね!!」 埒が明かないと感じたれいむは、さっさと男に連れて行けと要求する。 いつまでもまりさやありすと話をしていると、せっかく奮い立たせた勇気が萎えてしまいそうになるのだ。 そのため、多少強引ではあったが、れいむは二匹との会話を切り上げた。 「ふふ、久しぶりに、れいむを苛め倒すことが出来るよ。楽しみで仕方がないぜ」 男はれいむの部屋の鍵を開けると、扉を開けた。 その手には、一月ぶりに見る、恒例の箱が収められている。 この部屋と虐待部屋を行き来するのに、かつて男が使っていたものだ。 れいむはそれを見るや、体が委縮してしまう。これから虐待をされるのだと、否応なしに思い知らされるのである。 「さあ、れいむ。この箱の中に入れ」 男が木箱の蓋を開けて、命令してくる。 両壁からは、突然まりさとありすの声が聞こえなくなった。 何を言っても無駄だと気づいたのだろうか? それはそれで好都合だが、いざ声が聞こえてこないと不安になってくるのも事実だ。 生物(?)の心理とは、本当に不思議なものである。 れいむが完全に入ったことを確認した男は、木箱の蓋を閉める。 そして、れいむに一言言葉をかけた。 「お前だけは、利口なゆっくりだと思っていたのに、どうやら俺の見込み違いだったようだな」 利口なゆっくり。 この場合、頭がいいという意味ではなく、卑怯・狡猾という意味であろう。 二匹に虐待を任せ、一匹気楽に過ごしていたれいむに対する皮肉であろうか? 何とでも言うがいいと、れいむは心の中で反発した。 男は知らない。 虐待されることこそが、れいむの望みであることを。 これこそが、自分がこれから生き残る上での最善の方法であることを。 虐待されることは、すなわち将来への布石なのだといういことを。 自分が勝者だとおもっているであろう男は、れいむから見たら自分に従って動くピエロのようなものであった。 男の規則正しい足音が聞こえ始めた。移動を開始したのだろう。 これから一か月ぶりに、れいむは虐待を受ける。 れいむは、再度耐えしのぐ決意を固めた。 およそ一月ぶりに受けた虐待は、予想通り、死んだ方がマシといえるほど苦しいものであった。 それでもれいむは必死に歯を食いしばり、男の責苦に耐え続けた。 悪魔の拷問ような一時間が過ぎた時、れいむはあまりの激痛に意識を手放してしまった。 それでも男はきっちり時間どおり終えて、部屋に戻してくれた。 れいむが目を覚ましたのは、翌日の朝方であった。 虐待を受けてから、丸々20時間近く眠っていたことになる。 昔は虐待を受けても、ここまで長く休息を取ったことはなかった。 やはり、久しぶりの虐待に、体が付いてこなかったのだろう。 れいむは起き上がると、未だ痛みの引かない体を引きずりながら、ドッグフードと水の置かれている部屋の隅に向かい、もそもそと食べ始めた。 まりさとありすはまだ寝ているのか、物音一つ聞こえなかった。 少し残念ではあるが、れいむももうひと眠りしたいので、好都合でもあった。 何しろ、れいむは今日も男の虐待を受けるつもりなのだから!! まりさやありすに言えば、絶対に反対されるだろう。昨日の様子を見て入れば、考えるまでもない。 しかし、虐待を一回受けた程度でまりさと対等になったなどというおこがましいことは、さすがにれいむも考えていなかった。 まりさの受けた回数と同じとまではいかなくとも、少なくとも一週間分くらいは虐待を受けなくては、まりさと同じ位置に並べない。 だからと言って、ありすがいつまりさに告白するか分からない以上、三匹で順番に虐待されるなんて、悠長なことは言っていられない。 ほんの一月前までは、毎日のように虐待をされ続けてきたのだ。 それでも、れいむは生きている。悔しいが男の加減は、それだけ正確なのだろう。 これで障害が残ったりするなら考え物だが、そんなこともない以上、れいむは今日も明日も明後日も虐待してもらわなければならない。 そのためには、まず体力を回復させることが、何をおいても重要である。 れいむは食べ終わると、再び男がやってくるまで、眠りについた。 「れいむ!! いいかげんにやすんでよ!!」 「そうよ、れいむ!! これいじょうむりはやめてね!!」 れいむが虐待される決意をしてから、一週間が経過した。 まりさとありすは、2〜3日はれいむを説得し続けたが、れいむが以前のありすのように意志を曲げないと分かると、次第にれいむの心意気をくんでくれるようになった。 しかし、それでいて二匹のこのセリフ。れいむを行かせまいと必死で止めている。 納得したというのに、二匹がれいむを止める理由。 それは、れいむがこれで一週間連続で虐待をされ続けているためである。 どんなに止められようと、れいむは虐待され続けた。 男もそんなれいむの狂気じみた様子に、何か思うところがあったのだろうか? れいむの言い分を聞いて、毎日虐待をし続けてくれた。 しかし、虐待を受けているというのに、れいむは嬉しかった。 自分の思い通りに事が運んでいることに満足していた。 れいむにどんなにやる気があろうと、目下最大の懸念は、男がれいむを指名してくれるかというものであった。 如何に自分から名乗り出ようと、れいむを心配するまりさとありすも必ず名乗りを上げてくる。 心配してくれるのは嬉しいのだが、この時ばかりは、二匹のお節介も鬱陶しいと思わざるを得なかった。 気分屋の男だ、その日の気分次第ではれいむを虐待してくれないかもしれない。まりさやありすを選ぶかもしれない。 しかし、れいむには時間がないのだ。最短でまりさと対等にならなければならないのだ。 それを男は見据えているかのように、れいむを虐待してくれる。 れいむは、すんなりと事が運ぶことに満足し、今日も虐待の痛みに必死で耐えた。 虐待が終わり、れいむは部屋に戻された。 いつもなら食事をしてすぐに寝付くのだが、今日のれいむは中々寝られなかった。 嬉しかったのだ。 れいむの目安としていた一週間が終わったのだ。 これでやっとまりさとありすに、負い目を感じることはなくなる。 まりさと同じ高さに立てる。 そう考えると、ついついニヤケ面になってしまい、体の痛みも忘れてしまいそうになる。 そんなれいむに、両隣から声が掛って来た。 「れいむ!! だいじょうぶなの!?」 ありすの声である。 余程心配だったのだろう。 れいむの企みを知らぬありすは、必死にれいむの名を呼び続けてくる。 「れいむ!! あしたはぜったいにまりさがぎゃくたいされるからね!! これいじょう、れいむがいくんだったら、ぜっこうだよ!!」 まりさの言葉。 絶交とは、温和なまりさがよく口にしてきたものである。 危なかった。ノルマが達成した後で助かったものだ。 まりさと一緒になるために頑張っていたのに、そのまりさに嫌われてしまっては、本末転倒である。 「ゆっ……わかったよ、まりさ……あしたは……まりさにまかせる…ね……」 「ゆっ!?」 今まで頑として、まりさの言葉に耳を傾けなかったれいむが、いきなり素直になったのを受け、まりさは言葉を詰まらせた。 しかし、れいむの言葉はまりさにとっても、嬉しかったのだろう。 久しぶりに、まりさの声が落ち着きを取り戻した。 「ゆうぅ!! やっとれいむが、まりさのいうことをきいてくれたよ!!」 「ごめんね……まりさ………しんぱいばっかり……かけて」 「まったくだよ!! ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆっくり……はんせいするよ……」 「れいむ!! あしたはまりさだけど、そのつぎはありすがいくからね!!」 「ゆっ……ゆっくり…りかいしたよ……ありす……がんばってね……」 「まったく、しょうがないわね!! あとはとかいはにまかせなさい!!」 「おねがいね、ありす……でも……そのつぎは………またれいむがいく……からね」 「なにいってるの、れいむ!! れいむはしばらくおやすみよ!!」 「そうだよ、れいむ!! あとは、まりさとありすにまかせてね!!」 「だめだよ……れいむだって……まりさとありすの……やくにたちたいよ……ゆっくりなかまはずれは……やめてね」 「ゆぅぅ……やっぱりれいむはいじっぱりだよ!!」 まりさは最後に困ったような言葉を吐きながらも、最終的にはそれを認めてくれた。 元々、れいむが虐待をされることに反対だったわけではなく、れいむの行き過ぎる行いに対して苦言を呈していたのである。 れいむがしっかりと順番を守ってくれるのなら、まりさはれいむの意志を尊重してくれるつもりなのだ。 やはり、まりさは最高のゆっくりである。 この一週間、地獄の苦しみに耐えたかいがあったというものだ。 これで、準備は整った。 後はありすより先に、まりさに告白をするだけ。 しかし、物事にはタイミングというものがある。 少しでも確率を上げるためにも、その時に告白するのがベストだろう。 あの呑気でお人よしのれいむは、この時もうすでに存在していなかった。 世の物事すべてを損得の計算で考えられるように変わってしまったのである。変わらざるを得なかったのである。 それだけこの異常な空間が、れいむを変えてしまったのである。 しかし、れいむは自分が変わってしまったことに気付きもしない。いや、例え気づいていても、どうも思わないだろう。 すでに賽は投げられたのだ。 もう振り直しは出来ない。どの目が出ようと、突き進無以外道はない。 れいむは、そのまま少しの間二匹とお喋りをし、その後すぐに意識は深い深い海の底に落ちていった。 自分の成功を信じながら。 れいむの無茶苦茶な一週間が終わり、まりさとありすを含めて、三匹でサイクルを組んで虐待される日々が始まった。 すでにまりさ→ありす→れいむと一回り虐待は終了しており、今日はサイクルが始まってから、れいむが二回目の虐待を受ける日であった。 それと同時に、れいむが例の作戦を実行に移し出すと決意した日でもあった。 今日、男の虐待から戻ってきたら、まりさに告白しよう。 れいむはそう決めていた。 そのタイミングを選んだ理由はいくつかある。 一つ目は、虐待帰りだということである。 普通に告白をするより、虐待を受け心身ともに疲れている方が、まりさの気を買えるだろうという、れいむなりの考えである。 それなら、虐待一週間を終えたすぐの方がいいのではと思うかも知れないが、これについても、れいむなりに思うところがあった。 あの場で告白してしまったら、れいむの考えを見透かされる可能性があったからである。 見透かされるとは、虐待を受け続けた理由が、まりさに告白するためだとバレテしまうことを意味する。 そんなことを知られては、計算高いゆっくりだと、逆に引かれてしまいかねない。 しかし、数日置けば、さすがにそこに結びつけることはなくなるだろう。 二つ目は、あまり悠長に構えている時間もないということである。 作戦はただ告白するだけでなく、ありすより先にするというのが根幹の部分にある。 れいむも出来ることなら、もっと時間を置きたいのだ。 虐待のノルマを達成したといっても、それは所詮れいむだけが考えていることである。 まりさからすれば、れいむなんてまだまだ苦しんでないよと感じられるかもしれない。 だからこそ、今後もっと虐待を受け続けていけば、それだけまりさに近づくことが出来るのである。 しかし、悠長に構えていてありすに先を越されてはたまらない。 そういった様々な要素を考えまとめ、れいむは今日まりさに告白することを決意したのである。 男に虐待部屋に連れてこられ、今日も虐待が始まった。 その日れいむに怯えはなかった。 いざ告白を決意しても、ちゃんとまりさに伝えることが出来るか不安でいっぱいなのだ。 それに、ちゃんと告白できたとしても、まりさがれいむの告白を受けてくれるかどうかも分からない。 その気持ちが、虐待の不安を押し退けてしまったのである。 体が虐待に慣れてきたことや、虐待内容が以前行われた事の繰り返しであるということも、れいむにあまり不安を与えない要因となったのだろう。 れいむは、虐待の痛さに必死で耐えながらも、頭の中では今後のことばかりを考えていた。 虐待は終了し、れいむは部屋に帰された。 いよいよ告白の開始である。 痛さと疲れはあるものの、ゆっくりのくせにアドレナリンでも出ているのか、れいむはそれをほとんど感じなかった。 ゆっくりは思い込みの生物であるという学説がある。 思考のすべてを今後のプロポーズに費やしたれいむは、自分が痛いということを忘れてしまい、それが体にも影響しているのかもしれない。 ある意味羨ましい体である。 と、れいむがどういうふうに切り出すか悩んでいると、当のまりさの方かられいむに声をかけてきた。 「れいむ!! ゆっくりだいじょうぶだった?」 「ゆぅ!! ゆっくりだいじょうぶだよ!! ぜんぜんへっちゃらだよ!!」 いつも通りのやり取りであるが、れいむは言葉にしてからしまったと思った。 虐待後を狙ったのは、苦しみながらも告白することで、まりさの気を最大限引き寄せる効果を狙ってのつもりだったのに、うっかりと普通に話をしてしまった。 考えに夢中で痛さを感じないのも良しあしである。 こうなったら作戦実行日を変えるか? いや、やはりそれは出来ない。 ありすがいつ告白してくるか分からないのだ。あまり時間はかけたくない。 それに、せっかく今日に計画を合わせてきたのだ。 れいむは気持ちの面でも最高潮に達している。今なら、れいむの有りっ丈の気持ちをまりさに伝えきることが出来る。 れいむは、無駄な事を考えることは止めた。 最初から出鼻を挫かれたのだ。もう怖いものなどありはしない。当たって砕けろ!! いや、砕けたくはないけど、そんな意気込みで言え!! 本心をまりさにぶつけることにした。 「まりさっ!!」 「ゆっ!? なあに、れいむ?」 「れいむは、まりさがだいすきだよ!! まりさのことを、ゆっくりあいしているよ!! れいむといつまでもゆっくりしていってね!!!!」 「!!!」 言った!! 言ってしまった!!! もう後には引けない。賽は投げられた。 れいむの愛の告白に、まりさは何も返事を返してくれなかった。 しかし、一瞬、言葉に詰まった様子を見せた。相当驚いているのだろう。 こんな場合だというのに、告白なんてしてくるんだ。無理もない。 れいむは緊張で、喉(?)が乾いて仕方がなかった。 一刻も早く、水を飲みたい。 しかし、まりさの返事を聞くまでは、なんとか我慢するつもりだった。 壁越しの告白のため、姿は見えないのだが、水を飲んでしまったらまりさに振られる気がしたのだ。 様は願掛け、気分の問題である。 30秒が過ぎ、一分が経過しても、まりさは一向に口を開かなかった。 さすがにれいむも焦りだした。 やはり、まりさはれいむのことを好きじゃないのか? れいむじゃ、まりさには釣り合わないのか? 様々な感情が去来する。 しかし、ようやくまりさが口を開いて来た。 考えが纏まったのだろう。 「れいむ……れいむのきもちはうれしいよ」 「ゆっ……」 「まりさもれいむがだいすきだよ……」 「ゆゆっ!!」 「……」 そう言って、まりさは再び沈黙してしまう。 大好きだよ。 愛の告白をして大好きを言われたのだから、普通に考えれば、れいむの気持ちを受け止めたと考えていいのかもしれないが…… その後の間が嫌な気分にさせる。 なんとか傷つけないように断る手段を考えているような気分を感じさせる。 れいむは、やはり自分ではダメだったのかと弱気になった。 しかし、次の瞬間…… 「だから!! だから、まりさといっしょに、いつまでもゆっくりしていってね!!!」 …… ……… ………… れいむは唖然としてしまった。 もう十中八九、玉砕を覚悟していた。 それなのに、まりさはれいむの気持ちをしっかりと受け止めてくれた。 れいむは、ただただ感情を整理できず、言葉を詰まらせた。 「れいむ、どうしたの?」 何も話してこないれいむが気になったのだろう。言葉をはさんでくる そんなれいむの心情に気付かないのが、まりさらしいと言えばまりさらしい。 れいむは、とにかく何か話さなければ、言葉を掛けなければと、考えを纏め上げようとしたが…… 「ゆ……ゆゆ………ゆゆ……」 「ゆっ?」 「ゆ……ゆあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁ――――――――――――んんんんんん!!!!!!!」 「れ、れいむ!! どうしたの!!」 一気に感情が爆発してしまった。 爆発は涙となって、れいむの目から止めどなく溢れてくる。 嬉しかった。まりさが自分を選んでくれたのが。 嬉しかった。あの虐待された日々が、無駄ではなかったことが。 嬉しかった。れいむにはっきりと居場所が出来たことが。 れいむは、今までの自分の行動を振り返り、延々と泣き続けた。 「れいむ、なきすぎだよ!!」 「ゆぅ……ゆっくりごめんね、まりさ!! でも、れいむ、すごくうれしかったんだよ!!」 「まりさもうれしかったよ!! れいむがすきといってくれて!!」 「まりさ!!」 「れいむ!!」 ようやくれいむは泣きやんだ。泣きやむまで、実に10分もの時間を費やしてしまった。 れいむは水が飲みたかったことも忘れ、まりさとの話に興じ始める。 「れいむ!! いまはできないけど、けっこんしきはここをでられたらゆっくりしようね!!」 「ゆぅ!! そうしようね!!」 「それから、れいむはまりさのおうちにゆっくりくるといいよ!!」 「ゆゆっ!? いいの!!」 「あたりまえだよ!! れいむのおうちはまだできていないんでしょ? それに、れいむはまりさのおよめさんだもん!! いっしょにくらすのは、ゆっくりあたりまえだよ!!」 「ありがとう、まりさ!!」 「まりさのおうちはおっきいよ!! にんげんさんのおうちみたいにおっきいから、ゆっくりたのしみにまっててね!!」 「ゆっ!! ゆっくりたのしみだよ!! ゆっくりはやく、まりさのおうちにいきたいよ!!」 「あと、おちついたら、はねゆーんにもいこうね!!」 「ゆっくりたのしみにしてるよ!!」 人間のお家と同じくらい大きいとは、まりさも大げさに出たものだ。 まあ、所謂物の例えだろう。 しかし、れいむは「うそつかないでね!!」なんて、無粋なセリフを吐くつもりはない。 まりさは、れいむを喜ばせるために言っているのだろう。れいむだって、そのくらい分かるつもりだ。 こんな幸せなひと時を、自分から壊す必要はない。 自分の居場所が出来たばかりか、出会ったときからずっと好きであったまりさと、これからは永遠にゆっくりすることが出来るのだ。 れいむの頭の中は、まりさとの会話でいっぱい幸せいっぱいで、何にも考えられなかった。 しかし、次にまりさが言った言葉が、れいむに重要なことを思い出させた。 「ありす!! ありすも、まりさとれいむを、ゆっくりしゅくふくしてね!!」 「!!!」 そう、作戦が完璧なほどに決まったことで浮かれまくってしまい、すっかりありすのことを忘れていたのである。 れいむはなんと言葉をかければいいか分からなかった。 そもそも勝者であるれいむが、敗者であるありすにかける言葉なんて、どれも陳腐に聞こえるだろう。 裏切ったれいむの言葉なんて、都合のいい言葉としか感じないだろう。 事実、れいむの心の中は、ありすへの優越感で満たされている。 何とか考えずにいようとしても、すぐに思考の中に入り込んできてしまう。 とても甘美な麻薬のようなものだ。 れいむの口から出る言葉も、自然とありすを見下すものになってしまうだろう。 しかし、ありすへの背信行為をしておきながらも、ありすとは親友でいたい。嫌われたくない。 これもまたれいむの本音だった。 それは、勝者だからこそ持ち得ることが出来る、自分に甘く都合のいい考えである。 ありすのことを全く考えてない、自己中心的な思考である。 しかし、例えそれが分かっていようと、れいむはありすとの友情も諦めきれなかった。 それだけありすのことが好きだったのだ。 ありすは、まりさの言葉に、なかなか返事を返さない。 一体、どんな心中でいるのだろう。 自分を裏切り、まりさを手に入れたれいむに、仕返しでも考えているのだろうか? それとも、まりを諦めきれず、虎視眈々とまりさを奪う算段でも整えているのだろうか? 何とかありすに言葉を掛けなければならない。 親友でいてもらうためにも。 れいむが、なんて声をかければいいのだろうと、頭を悩ませていると、ようやく当の本人から反応が返ってきた。 「おめでとう!! れいむ!! まりさ!!」 その言葉に、特に棘があったようには聞こえなかった。 いつものやさしさに満ちたありすの声に聞こえたきがする。 心から祝福しているような気がする。 「ゆっ!! ありがとう、ありす!!」 まりさが祝福を受け、感謝の意を示す。 「けっこんしきには、ぜったいにありすをよんでね!!」 「あたりまえだよ!! ゆっくりかならず、ありすをよぶよ!!」 「ゆっくりれいむをたいせつにしてね!!」 「ゆっくりやくそくするよ!! れいむをいつまでもかわいがるよ!!」 その後、まりさとのやり取りを終えると、ありすはれいむにも声をかけてきた。 「れいむ、おめでとう!! まりさとゆっくりしてね!!」 「ゆっ……ありがとう、ありす……」 「けっこんしても、ありすとはしんゆうでいてね!!」 「ゆぅぅ……」 ありすはれいむを祝福してくれた。 そればかりか、れいむに対して、親友でいてくれとまで言ってくる。 れいむは自分でありすを裏切っておきながら、ありすの寛大な態度に居たたまれなくなった。 それと同時に不審に思った。 ありすは悔しくないのだろうか? 悲しくないのだろうか? れいむがありすの立場なら、決して自分を許さないだろう。 なのに、ありすは祝福してくる。れいむが最も望んでいた言葉をかけてくる。 腑に落ちなかった。自分に都合がよすぎる。 昔のれいむなら、その言葉に何ら疑問を抱かなかっただろう。 しかし、今のれいむは、物事を計算で見るようになってしまっている。 ありすの言い分は、そんなれいむを納得させるには、あまりにも納得の出来ない言葉だった。 折角想いに想っていたまりさと一緒になることが出来たのだ。 なのに、つまらないことで将来への希望を壊されるようなことは、絶対にあってはならない。 本当にありすは自分たちを祝福してくれているのか? 何か不穏当な考えを持っているのではないか? もしありすが何らかの手で自分を陥れようとしているのなら、何が何でも防がなくてはならない。 例え、今後ありすとの友情が壊れようと。 れいむは、ありすの真意を測ることにした。 一夜明けた翌日、今日はまりさが虐待される日である。 男はまりさを虐待部屋へと連れていった。 今がありすと話す絶好の機会である。 れいむは、ありすのいる壁際の方に行くと、真意を質すべく、核心をぶつけた。 「ありす、おきてる?」 「ええ、ゆっくりおきてるわ!!」 「ありす!! れいむ、ききたいことがあるよ!!」 「なにかしら?」 「きのうのことだよ!! ありすは、れいむにまりさがとられて、かなしくないの?」 「……」 「まりさがすきじゃなかったの?」 「……」 「れいむをうらんでいないの?」 「……」 「ねえ、どうなの、ありす!!」 れいむの問いに、ありすは中々反応を示さない。 れいむはゆっくりとありすが言葉を出すまで待ち続けた。 ようやくありすが口を開いて来たのは、一分後であった。 「……くやしいわよ!! かなしかったわよ!! ありすはまりさがすきだったんだもの!!」 ありすは、自分の隠していた感情のすべてをぶつけるかのように、大きな声で叫んできた。 これには、さすがのれいむも、少なからず動揺した。 ありすがこうまで生の感情を出してくるとは思わなかったのだ。 「それじゃあ、どうして……」 「……だって、しょうがないじゃない!! これはこいのかけひきなんだもの!!」 「ゆっ?」 「れいむは、じぶんのことをどうおもってるの? ありすのことをうらぎったとおもってる?」 「ゆぅぅ……それは……」 「さいしょはありすもそうおもったわ!! れいむにうらぎられたって!! でも、じっさいはそうじゃない!! まりさはだれのものでもないんだもの!! まりさにこくはくするのは、れいむのじゆう!! それをうけるのもまりさのじゆう!! そこのありすのはいるよちはないわ!!」 「……」 「ありすがまりさにさっさとこくはくしなかったのもいけなかったしね!! まりさのあいてが、れいむならなっとくだわ!! それに、まりさはれいむのことがすきだったみたいだから、こくはくしてもたぶんふられていたけどね!!」 「ありす……」 「だからありすはあきらめたの!! かこをふりむかないことも、とかいはのたしなみよ!! だから、れいむがきにすることはないわ!! これからもありすのしんゆうでいてね!!」 「……ありす!! ありがとう!! ありがとう!!」 「かんしゃすることなんてないわよ!! ここからでられたら、まりさいじょうにすてきなゆっくりをみつけてやるんだから!!」 「ありすならきっとみつけられるよ!!」 「ありがとう、れいむ!!」 れいむはここに来て以来、三回目の衝撃を受けた。 自分はなんて小さいのだろう。ありすと言葉を交わし、嫌というほど思い知らされた。 自分は決してそんな風に考えられない。 ありすの立場なら、絶対に嫉妬をせずにはいられない。 しかし、ありすはどこまでいってもありすだった。 優しく他人を思いやれるゆっくりだった。 本当に心の底から、れいむとまりさを祝福してくれていたのだ。 れいむは、ありすを疑ったことを悔いた。 そして、同時に感謝した。 こんな最高のゆっくりと知り合えたことを。 ありすと親友になれたことを。 「ありす!! れいむとありすはいつまでもしんゆうだよ!!」 「もちろんよ!!」 れいむは、今最高に幸せだった。 隣には愛するまりさと、親友のありす。 例え姿は見えなくても、スリスリ出来なくても、心が繋がっている。 それが感じられるだけで満足だった。 しかし、今日の幸せはそれだけに留まらなかった。 まりさが虐待を終えて帰ってきた。 それと同時に、壁越しに男からとんでもない一言が飛び出してくる。 「お前たち。今日でお前らの虐待は終了する」 「!!!」 突然の男の発言に、れいむは驚きのあまり、餡子を吐いてしまいそうになった。 何とか飲み込んで、事なきを得たが。 「ゆっ!!! ほ、ほんとうなの!?」 「ああ。飽きてきたしな。明日、部屋から出してやるよ!!」 「ゆうううぅぅぅぅぅぅぅ―――――――!!!!!」 れいむが雄たけびを上げる。 まさか、婚約した翌日に、この辛く苦しい虐待まで終わることになるとは!! 人間でいえば、盆と正月とクリスマスがいっぺんに来たようなものである。 「やったああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!」 遂に、遂にここから出られるのだ。 まりさとありすに会えるのだ。 スリスリ出来るのだ!! 隣では、二匹とも感無量なのか、一言も言葉を発しなかった。 「それじゃあな」 そう言って、男の足跡は遠ざかっていく。 れいむは、すぐさま二匹に声をかける。 「まりさ、ありす!! でられるんだよ!! やっとここからでられるんだよ!!」 「ゆう!! ながかったよ!!」 「やっと、ここからでられるのね!!」 「まりさ!! あしたはいっぱいすりすりしようね!!」 「ゆっ!! そうだね。れいむ!!」 「あしたがたのしみね!!」 「ゆっくりたのしみだよ!!」 れいむの頭の中には、男が嘘を付いているという考えは一切ない。 別に昔の純粋なれいむに戻ったという訳ではなく、単に嬉しすぎて頭が回らないのだ。 もっとも、男はちゃんと出してやるつもりなので、考えたところで、れいむの杞憂に終わるのだが。 早く明日が来ないだろうか? れいむは浮かれて、なかなか寝付けなかった。 その7へ
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ゆっくりホームステイしていってね!! 2の続きです。 ドスまりさ、賢いゆっくりが出てきます。 ドスまりさは第二回ホームステイに参加するゆっくりを選出するのと並行し、人間から教わった農業を実践に移すために群れの成層圏内の一部を 「とくべつのうこうくかく」と、「がくしゅうのうこうくかく」に分け、許可なき群れのゆっくりの立ち入りを禁止した。 特別農耕区画は実際に人間から貰ったほうれんそうというお野菜を育て、群れみんながゆっくりできるように皆の食料に充てる。育てるのは第一回のホームステイに参加したゆっくりとその家族たちだ。 学習農耕区画は群れのゆっくり、特に子供を相手に農耕について学ばせる区画だ、主に野菜がどうやって生えてくるのか、人間はなぜ野菜を独り占めしている(ように見える)のか、 そのような子ゆっくり達の疑問に本物の野菜と触れ合いさせながらありすやぱちゅりーが子供たちを教育する。 今までドスは冬に食糧不足になったとしても人間の里に食糧をもらいに行ったことはなかった。確かに群れの仲間は大事だが、人間に食糧を面でもらいに行った結果、 怒りを買ってしまえば越冬どころの騒ぎではなくなる。こちらから対価として渡せるものがない以上、安易に人間に物をねだるのは避けたかった。 そのことでドスはずいぶん非難されたこともある、ドスは心の中で群れのゆっくり達に謝りながら、人里に行き畑を襲ったゆっくり達をリンチにする命令を自警団に下していた。 だが、今では群れのゆっくり達でお野菜を作ることができる。そうなれば冬の食料事情が十分とは言えなくてもいくらか好転するはずだ。 そしてそうなれば人間の畑を襲うゆっくりもいなくなるはずだ…そしてその時こそ、自分が真にゆっくりできる時なんだろうとドスは思っていた。 ついにドスが本性を現し始めたな… あの正義感が悪い方向に行ったまりさはドスのお話を聞いて真っ先に思った。 ドスはナントカのうこうくかくなどというよくわからないものを作り、そこで人間から貰ってきたという野菜を育て始めた。 野菜は人間が頑張って育てたもの、だからゆっくりが勝手に手を出してはいけないと、ドスや側近から何度も聞かされていたが、そんなことはなから信じていなかった。 他のゆっくりなら少しは疑問に思っただろう、だがこのまりさは自分の正義を貫くことしか頭にない、つまりは盲目的すぎた。 ドスはああやって他の群れの仲間たちに嘘を教えている、そしてドスは人間同様に野菜を独り占めする方法を学び、自分に従わないゆっくりを差別し、排除するつもりなのだ… そうなってしまえばこの群れはゆっくりできないことになる、その前に何とか行動を起こさなければ… 群れでは二回目のホームステイに参加するゆっくり達が出発した。彼らは第一回ホームステイに参加したゆっくりから話を聞き、強い関心を抱いた好奇心の強いゆっくり達だった。 そして群れでは第一回ホームステイに参加したぱちゅりーとありすが子供たちに農耕を教え、他のゆっくりがせっせと雑草を食べ、近くの川から水を持ってきている。 「まりさ、あなたもこっちにきなさい、むれのなかまであるいじょうあなたものうこうをしるひつようがあるわ!」 教育係のありすが逃げようとした正義感の強いまりさを呼びとめた。 「い、いやだよ!!そんなゆっくりしてないじゅぎょうなんてうけたくないよ!!」 「むきゅ、まちなさい、ゆっくりがゆっくりできるようにべんきょうをすることはいいことなのよ」 「そうよ!!ちゃんとじゅぎょうをうけないとゆっくりできないわ!!それこそいなかものよ!」 「いやだよ!!どすのせんのうじゅぎょうなんてゆっくりできな…」 「なにいなかてきなわけのわからないこといってるの?いいからきなさい!!」 いくらなんでも二匹の成体ゆっくりに敵うわけがなく、まりさは他の子ゆっくり達の列に座らされてしまう。 「むきゅ、じゃあじゅぎょうをはじめるわ、まずみんなこのたねをいっこづつとっていってね」 「ぱちゅりー、これたべもの?」 「こんなにちいさいとゆっちゅりできにゃいよ!?」 「これはたべたらだめよ?みんないっこずつとったわね?じゃあいまからありすのいうことをゆっくりきいてしっかりりかいしてね!!」 ありすのいうことなんか誰が聞くものか。そんなまりさの耳にちょっと離れた所から争う声が聞こえた。 「な…でまりさたちは………はいっ…らいけないん…ぜ?あい……はあそこでく……たべてゆ……りして…ん…ぜ!!……さも…おくま……はんをた……いくよりあそこ……さをた…てゆっくりしたい………!!」 遠くてよく聞こえなかった、だが今のまりさにとても大事なことを言っているような気がする、まりさはアリスとぱちゅリーを完全に無視して向こうの特別農業区画の方に耳を傾けた。 人間…いや、ゆっくりというのは不思議なものだ、遠くて聞こえないような声でも注意すればはっきりと聞こえる。これならあのありすとぱちゅりーに洗脳される心配もない。 「どすのめいれいだちーんぽ!!いまあのゆっくりたちはざっそうというゆっくりできないくさをたべてるんだちーんぽ!!」 「だったらまりさもてつだうんだぜ!!はやくなかにいれるんだぜ!!」 「それはできないちんぽ、ほーむすていにさんかしたゆっくりいがいにはまだおやさいとざっそうのくべつがつかないかのうせいがあるちんぽ、まちがっておやさいをたべたらあぶないちんぽ」 もうすでにドスの野望は始まっている、草があるところをわざと立ち入り禁止にして、ホームステイに参加したドスの側近をそこでゆっくりさせる。 それに異を唱えたゆっくり、ドスの命令より目の前のゆっくりを優先するようなゆっくりはゆっくりできないと言いがかりをつけ、迫害する気なんだ!! 「みんな、ぱちゅりーのいうことがゆっくりりかいできたかしら?」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 「むきゅ、みんなおりこうさんね、じゃあ、みんな自分のところにたねさんをいれてやさしくつちをかけてあげてね、それからあそこにあるおけからみずをもってきてゆっくりかけてね、むきゅ」 いけない、周りのみんなが動き出した、このままじゃ自分も迫害の対象になってしまう、なんとか周りに合わせないと…とりあえず、目の前にあった小さい粒は飲み込んだ。 あとは周りのゆっくりと同じことをすれば何とかやり過ごせるだろう。 数日たって、群れの子供たちは自分のホウレンソウも芽が出たとか、出ていないとかではしゃぎ、出ているゆっくりは他のゆっくりとどちらのホウレンソウが ゆっくりしているかを熱く語り合っていた。 やはり人間が野菜を育てたなんて嘘だったんだ。まりさはそう確信した…と言うより、根拠のない自信に無理やり根拠をつけた。 ドスは人間から得た知恵で事前に野菜が生えてくる場所を知り、そこを立ち入り禁止にしたんだ。自分も他のゆっくりもみんなおんなじことをしたのに、 生えてこなかったゆっくりが何匹もいるのがその証拠じゃないか、もしあんなことをやって野菜が生えてくるならゆっくり全員分の野菜が生えてこないといけないはずなのに!! 実際のところ、ほうれん草はいったん生えたら収穫までは短いが、種がちゃんと発芽する確率はあまり高くないという、それを考えればこの子ゆっくり農園は成功と言って もよかったし、 ドスやぱちゅりー、ありすもそのことは子ゆっくり達に伝えていたが、結局そんなこと聞いてなかったこのまりさを悪い意味で増長させることになった。 このままではいけない、悪いゆっくりがゆっくりすることだけは避けなければいけない、そう考えたまりさは先日、みょんに追い返されてたまりさを訪ねた。 そのころ人里ではホームステイ中のゆっくりにちょっとした問題が起きていた。 「おじさん!!そんなむずかしいはなしはいいからはやくごはんをちょうだいね!!」 「いや、それはうりものでおまえたちのごはんというわけじゃ…」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 ホームステイに参加しているゆっくり達のモラルの低下である。 一回目のホームステイはドスの側近、二回目は畑を作り、皆でゆっくりすることを夢見た勉強熱心なゆっくりだった。 しかし三回、四回と続き、参加するゆっくりの選定がドスの選択からゆっくり達の立候補になった頃、ホームステイに参加していなかったゆっくりは 群れに少数いたゲスか、ドスの話をまともに聞かない周りに流されるだけのゆっくり達だった。 彼らがホームステイに参加したゆっくりから聞いたことの中で記憶にとどめていたのは「にんげんのごちそうはおいしかった」だけだった、 その文の前後に「れいむががんばったごほうびにつくってくれた」とか「さいごのひにおいわいにたべさせてくれた」とかいう文はゆっくり特有の 「都合の悪いことは聞かなかったことにしてしまう癖」でしっかり頭に入っていなかった。 そんな連中が人間の家に招かれたらどうなるか、お家宣言と、ご飯を持ってきてねのダブルコンボである。 人間から苦情が増え、ドスや側近たちが頭を下げながらうるさいゆっくり達を群れに引きずって行った。彼らはホームステイの趣旨を全く理解してくれなかったのだ。 今までドスと自警団の抑止力による治安維持によって好き勝手ができなかったゲスにとって、ホームステイは彼らの目から逃れ、存分に暴れる格好の機会だった。 あまり周りの話を聞かないでとりあえず周りに流されているだけだった普通のゆっくりにとって、ホームステイはただのお引っ越しだった。彼らは自分の子供以上に畑について理解していなかった。 ゆっくりの体当たりでつぼが割られた家が現れ、7回目のホームステイが全員中止になったとき、里ではゆっくり達の立ち退きが決まった。 どうしてこんなことになったのだろう、と長は思った。 最初はドスの群れが来た時、厄介事が増えたとしか思わなかった、しかしドスと条約について話し合ってるうちにこのドスとはうまくやれそうな気がしていた。 ドスがホームステイをやりたいと言い出した時、最初は面食らったがゆっくりが自分でゆっくりできる努力をしようとしていることを知った時、少しだが、心を動かされた。 つい数週間前まで、このドスとは良き隣人であったと思っていた。努力はするけど努力の仕方がわからない、そんな隣人に努力の仕方を教える。 この長の心は先進国が隣国の発展途上国に支援してるような、そんな感じだったのかもしれない。 昨夜の里の会合では村人たちの殆どがゆっくりのモラル崩壊を嘆いていた。「最初のころはあんなにいい子たちだったのに」、と農家をやっていた老夫婦は嘆いていた。 「だから俺の言ったとうりだったじゃないか!!」と、青年はホームステイを実行した長を責めた。 「ドスが群れの中の問題児を見抜けなかったんだろうな」と分析していたゆっくり好きの青年もここまで被害が出ればやむを得ない、と書類にサインをした。 「すまないが、ゆっくりの群れまで行ってドスを呼んできてもらえないか?」 長は使用人に言った、おそらくこれがドスとの今生の別れになるだろう。 使用人がドスのところに来た時、ドスはこれで人里に行くのは最後になるなと直感した。 人間に物を教えてもらいに行ったのに、最近は人間に迷惑をかけてばかりだった、人間が起こらない理由はないだろう。 それでもドスは人間に感謝していた、普通の人間なら何の警告もなしに自分たちを皆殺しにするはずだ、それがこうやって使者を送ってきたということは最期まで約束を守ってくれるということだ。 「ゆっくりりかいしたよ…」 長から話を聞いたドスは何も反論せずに言った。 「でも、おささんにおねがいがあるよ、ひっこしはいっしゅうかんあればできるけど、むれのおやさいのしゅうかくがまだのこってるの、なんとかたべれるぐらいにそだつまで、じかんがほしいよ!!」 ドスが言うにはまだ群れには収穫前の野菜があり、それがちゃんと収穫できるようになるまで一週間かかるらしい、立ち退きの準備や収穫などで9日ぐらいかかるという。 「私が作ったルールを私が破るわけにはいかないから、一週間後に約束は効力を失わせるよ、でも、君たちが立ち退いてくれる姿勢を見せてくれている以上、 里の誰も君たちに危害を加えようとはしないはずだ。私からもむやみに群れに手は出さないように言っておくよ。」 「ありがとう、おささん、ありがとう…」 そういったドスまりさは里に向かって数歩はねた後、長の方を向いて言った 「いままでありがとう!!めいわくをかけてごめんなさい!!にんげんさんみんながずっとゆっくりできるといいね!!!」 最後にこういい残したドスはすぐに群れのある山に向かって駆け出して行った。 「君たちも、ゆっくりな…」 長はしばらくの間、ドスの背中を見送っていた。 「みんな、ひっこしのじゅんびだよ!!ゆっくりじゅんびしてね!!」 ドスは群れに帰ってすぐ仲間のゆっくり達に自分たちが立ち退かなければならないことを伝えた。群れのゆっくり達の反応は様々だった。 予想はしていたのか、残念そうな顔をしながら巣に向かう側近や勉強熱心なゆっくりたち、何が何だかわからないがとりあえず引っ越しだということで家族を集めるゆっくり達、 そして、にやりと笑いながら群れから消えた一部のゆっくり、こいつらにはだれも気づかなかった。 一週間たって、ドス達は引っ越しの準備を終えた。引っ越しの間の食料には少し不安があったが、ホームステイでお世話になった里の人間が何回かお菓子を差し入れてくれた。 野菜も収穫にはまだ早かったが、種は回収できたためすぐに引っこ抜いてドスやまりさ種の帽子に入れた。引っ越しに時間をかけすぎて長に迷惑はかけられない。 「それじゃあみんな、ゆっくりならんでね!!いまからどすがみんないるかどうかかくにんするよ!!」 ゆっくりを種類毎に並ばせて数を確認していくドス、あれ、おかしいな、何匹か足りない… 何匹かで探しに行かせようか?そう思った時、木の蔭からいなくなっていたゆっくり達が出てきた、あのまりさや、群れの問題児たちだった。よかった、すこしびっくりしちゃったよ… しかし、そのゆっくり達、その先頭にいたあのまりさが言った言葉にドスはもっとびっくりすることになった。 「みんな!!ゆっくりできないあくのどすをたおすよ!!いまこそせいぎをつらぬくときだよ!!」 反乱?こんな引っ越しで忙しくなるというのに!!よく見るとまりさの後ろにはかなりの数のゆっくりが居る、きっと群れとは関係ないゆっくりも仲間に引き込んだんだ。 「ゆゆ!?ちょっとまってね!!ゆっくりしてね!!どすがきらいだというならりゆうをきかせてね!!」 「りゆう!?そんなのどすがわるいゆっくりだからにきまっているよ!!みんな、いまからまりさのはなしをきいてね!!」 なにがおこってるの?なんかあそこでまりさがしゃべってるよ!! ドスや側近たちはあくまで冷静だった。今までゆっくりの反乱がなかったわけではない、それもほとんどはドスの筋の通った話を聞き、納得した上で反乱の鎮静化に成功している。 今回だって、きっと話せば分かってもらえる、そう思い、まずはまりさの話を聞くことにした。 「みんなよくきいてね!!どすはゆっくりをいじめるにんげんとなかよくしているわるいゆっくりなんだよ!!」 「ちがうよ!!どすはつよいにんげんさんとなかよくすることでゆっくりをゆっくりさせてくれようとしたんだよ!!」 一匹のれいむに論破された。 「どすはにんげんのようにおやさいのできるばしょをあらかじめたちいりきんしにしてゆっくりたちのちゅうせいしんをためそうとしたんだよ!!」 「ちがうんだぜ、それはどすがおやさいのたねをうえるばしょをじぜんにかくほしてただけなんだぜ」 一匹のまりさに論破された。 「にんげんがやさいをそだててるなんてうそだよ!!まりさはぱちゅりーやありすとおなじことをしたのにやさいなんてはえてこなかったよ!!」 「ちにゃうよ!!ほうれんそーさんはちゃんちょちゃねをうぇてもはえてこにゃいこともありゅってありしゅいってちゃもん!!」 子供にまで反論された。 「そうなんだね、みんな…」 まりさが俯いた。やっと理解してくれたんだと、群れのゆっくりは安堵 「みんなどすにせんのーされたんだね!!かんぜんにせんのーされたゆっくりはゆっくりしんでね!!」 しなかった。 このまりさにとってはドスが悪であること、お野菜は勝手に生えてくるということはすでに決定事項だった、悲しいまでに強い信念といってもいい。 そんな奴と話し合いで解決なんてできるわけがないのだ。 群れの問題児、ゲスにとってはドスの言うことは理解はできてもそんなのどうでもよかった、むしろ自分で野菜を育てるなんてゆっくりしてない、 人間が育ててるんならそっから奪えばいいと思って言えるような連中だ。 群の外や、隣の山から参加したゆっくり達にとってはドスの話は全然意味不明だった。ただ、あのまりさが悪いドスをやっつけるから協力してほしいと聞いて参加しただけだ。 そもそもいきなり野菜の種がどうこう言って理解しろという方が酷だというものっだろう。 もう駄目だ、 話し合いで解決はできない。 そう判断したドスの行動は早かった。 「みんな、いそいでにげるよ!!」 けがや病気、ぱちゅりーなど素早く動けないものは帽子に入れた。 周りのゆっくりもドスに合わせて子供を口の中に入れる。 そしてドスと群れのゆっくりは一目散にその場から逃げだしてしまった。 もともとこの土地は捨てる予定だったのだ、むやみに戦って無駄な餡子を流す必要はない、ずっとこの場所に執着していたドスだったが、一度見切りをつけると行動は早かった。 「ゆっ!!あくのどすがにげるよ!!みんなついげきだよ!!」 「まつのよまりさ、まずはてにいれたこのゆっくりぷれいすをちゃんとせいりして、ゆっくりできるようにするのよ!そのあととかいはらしくすっきりするのよ!!」 「せんりょうせいさくだねー、わかるよー!!」 遂にまりさは悪のドスからゆっくりプレイスを取り戻すことに成功した。 まりさは群れの仲間とともにこれからのことを話し合う。 人間との条約?ゆっくりを虐める悪の人間と約束することなんてない。 人間のものを奪ってはいけない?人間の畑にあるものは人間が独り占めしたものだ、それを奪うことは正義が悪にはむかうこと、むしろ推奨されるべきことだ。 すっきり制限?するわけがない、子供がいるとゆっくりできる、ゆっくりは正義だ、すっきりも大いに推奨されるべきことだ。 「ふう、この日をどんなに待ちわびたことか…長は条約が無効になっても群れのゆっくりには手を出すなとは言ってたが…条約が無効になった以上、俺がゆっくりを何匹虐めても おれが罪に問われることはないもんな。」 まりさはとてもゆっくりしていた、逃がしてしまったとはいえ、念願だった悪のドスを追い出すことができたのだ。 これからは自分がこの群れを、正義の群れとして、ゆっくりできる群れにしていこう。 「おぉ、長の言う通りだな、まだ引っ越していないゆっくりが居やがる…だがもう条約なんて関係ねぇ!饅頭を潰すことにもう誰にも文句は言わせねえ!!ひゃあ!!虐待、虐殺、虐待だぁ!!」 まりさの理想が崩壊するまで、もう数十秒もなかった。 完 10月26日 1910 セイン このSSに感想を付ける
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今日はこなたと自室デート。 たまたま家族も居なくて、久しぶりに二人っきりになれた。 しかも他愛も無い話を続けている内に、なんだか段々いいムードに。 こなたも機嫌良さそうだし…この前も我慢したんだから、いいよね。 「…ねぇ、こなた」 言いつつこなたに近づいていく。 こなたも察したらしく、恥ずかしそうにしながら動きを止める。 背中に手を回し、長い髪ごとこなたを抱きしめる。 あったかい。 こなたは何も言わず、目を閉じている。 こうして触れ合っているだけでもう心臓が破裂しそうなほどドキドキしているというのに、私は更に顔を近づけていく。 ぎゅっ、と回した腕に力を込めつつ、軽く唇を重ねた。 …やわらかい。 いつまでもくっつけているわけにもいかず、一旦顔を離す。 頭がくらくらする。もう体中がフルスロットルでこなたを求めているのがわかって、私は続きをしようとしたが、こなたの空気を読まない発言によって遮られた。 おやつとして出してあった皿の中のさくらんぼを指差しつつ言うこなた。 「さくらんぼのへたを舌で結べる人はキスが上手いって言うよね」 「…言う、確かに言う。だけど何故今…」 これは焦らされているんだろうか? さっきの赤面は演技とは思えなかったけど。 「いやね、ちょっとこれを見てくれたまへ、かがみん」 そう言うや否やさくらんぼを幾つか掴んで口に放り込む。 「ん…むぐっ、んむぅ…」 可愛らしく目を瞑りながら口の辺りをむぐむぐと動かしている。 恐らくは口内でへたを結んでいるんだろう。 でも、はっきり言ってその扇情的な効果音に私はそれどころじゃない。 「んぐっ…できた」 こなたが口から結ばれたへたを吐き出し、ずい、と見せてくる。 にぱー、と自慢げに笑みを浮かべ、やり遂げた顔をしている。 「凄いけど…実戦で通用するの?」 前触れも無く口づけを再開する。 今度は舌を入れる。待たされた分こなたの口の中を思う存分味わわせてもらうことにする。 「んっ…んうっ、んー」 ちゅく、といういやらしい水音が響く。 そのまま舌で歯茎をなぞり、突然のキスで混乱したのか全く動いていないこなたの舌を絡めあう。 「んーっ、んぅっ、んぁ…」 体を密着させたまま、更に激しくこなたの口内を掻き回す。口の隙間から溢れた唾液が零れ、スカートに染みを作った。 最後にこなたの唾液を嚥下し、ゆっくりと唇を離す。それに合わせてつー、と銀色の糸が出来た。 顔を上気させ、焦点の合わない目でこちらを見ているこなた。 「…折角の技術も意味がなかったわね」 息を荒くしながらあぅー、とうなだれる。 「これじゃ、私、マグロじゃんかー。ちぇ、いけると、思ったんだけどなー」 言葉の節々に息継ぎを混ぜながら言い終えると、そのまま倒れ掛かってきた。体重をこっちに預けたあとなんかぶつぶつ言ってる。 「だいたい、かがみんはツンデレの筈なのに、なんでこういうときだけ、そんなに強気?」 「そんなの知らないわよ。愛ゆえじゃない?」 「疑問文を疑問文で…まぁいいや。ちっ、こいつも精神が肉体を凌駕してるクチか」 「…素直に嬉しいっていいなさいよ」 私の胸に頬を摺り寄せているこなたの頭を撫でる。さらさらの髪の毛が指に心地良い。 少しすると息が整ったらしく、会話を再開する。 「じゃ、かがみん。続きを…と言いたい所なんだけど」 「何?なんかあるわけ?言っとくけどあんたが思ってるほど私の限界は遠くないわよ」 「そんなストレートに…ほんとに強気だ」 また顔を赤く染め、言いにくそうに視線を外す。 「いいから。なんなのよ」 意を決したらしく女の子座りのまま言うこなた。 「えーっと…腰が抜けちゃって立てない、から…ベッドまで運んで?」 …え? くそぅ、駄目だ。可愛すぎる、こいつ。 「? どしたの?かがみ?わたし軽いから、かがみでも大丈夫だと思うよ。あ、なんならお姫様だっこでも」 腰が抜けたままウィンクする。 あえてもう一度言おう。駄目だ。可愛すぎる、こいつ。 お姫様抱っこも捨てがたいけど、もう我慢できない! 「ここでいいよね?もうちょっと無理」 「へ?あ、ちょ、かがみ、んっ」 「いただきます」 かがこな(2)へ コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-09-22 20 50 20) この2人かわいいな、ちくしょー -- 名無しさん (2011-04-11 22 23 28)
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―翌日。 給食と雑談も終わり、午後一発目の授業は体育だ。 腹ごなしにはちょうど良いかもしれないが、 なんせ7月だ。容赦ない日差しが私を照りつける。 「あぢぃ゙~~。」 いや、暑いだけなら良い。今日に限って近所を周回するマラソンだという。 …何の罰ゲームだ、これは? こんなものは早く終わらせるに限る。 脳内で”気合い”という名のニトロ(ナイトラス・オキサイド(N2O))を 一気に注入する。素敵なスイッチひとつで50~100psアップだ。 …脳内でのみ。 「とりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 風鳴りが増す。 ―瞬間。 いきなり地面がグラついた。 …地震か!?と思ったら違った。 全身すべての力が抜けて行くのが分かる。 魂か何かが引き抜かれるように、私の意識もそこで途切れた。 ・・・・・。 ・・。 ・・。 ・・・・。 ―ゆっくりと、意識が戻ってくるのを感じる。 …言わんこっちゃない。多分熱中症あたりで私は倒れたのだろう。 状況から判断して、たぶん現在位置は保健室のベッドの上とかだろうか。 そよそよと吹く風が私の頬をなでている。 …まだ目を開ける気にはならない。 …口唇を何かで塞がれている様な、感覚。 …続けて、何かやわらかい物が侵入してくる。 …「それ」が私の舌を発見したようで、優しく絡んでくる。 ―心地良い。 …そろそろ起きていいだろうか? ―うっすらと目を開ける。 「……!!!!?」 …目の前にかがみの顔。切なそうな表情をして、 閉じられた目には少し涙も溜めている。 曖昧3cm♪ …どころではない。マイナスがつくよっ!!! 「ん゙~~~゙!!!!」 ―ジタバタと暴れてみようと思っても、できなかった。 …手首ごと、がっちりホールドされている。 ありていに言えば、マウントポジション。 ―この状況下でも、足を使って撃退は可能だが、 さすがの私でも、かがみに使う気にはなれない。 「んぅ…ぷはっ。」 ―と、かがみの方から唇だけ離してくれた。 …どちらの物かも分からない唾液が、ツー、と垂れて、 開け放しの窓から照らす夕日に反射してキラキラ光っている。 「かっ、かが…!」 「ゴメン!!!……なさい。」 ―先に叱っておこうかと思ったが、先を越された。 …だが、謝ってもらっても、許せなかった。 「かがみっ!!!」 …寝てるのを良いことに、私の気持ちなんか完全に無視して、 それで、自分の気持ちだけ良いように押し付けるなんて…。 ―そんなの卑怯だよ!!!! …上記の7文字に、自分の思いをすべて叩き込む。 「…だって。…だって、仕方がないじゃない。」 「…?」 ―何がどう「仕方ない」のだ? 「アンタに…キョヒられたって、"はいそうですか…。"って 簡単に、自分の気持ち、…変えられないんだよ?」 「……。」 「…だから、…だから。…苦しかった。……切なかった。……悲しかった。」 「…気づいたら、…アンタを、…奪ってた。……ゴメン。」 ―かがみの顔は、怒られているときの子供の顔みたいに、 目が泳いで、寂しそうに下を向いている。 …「本当に」悪いことをした。とは思っているらしい。 ―かがみの気持ちが全く分からない訳ではない。 ―恋した分だけ、拒まれたときに発生するであろう、鬱屈な気持ち。 後から膨れ上がるその気持ちを抱えきれずに、晴らす場所を探していた。 ―その場所が、私の口唇だった。という訳だろうか? 「でも、シちゃった時は、すごく…気持ちよかった。」 「なっ…!?」 「どうしようもなく…、心地よかった…。 このまま時が止まったらって、思った。」 ―かがみの顔が、また近づいてくる。 またやるつもりだろうか? ―と、思ったら、首の左側で静止した。 …舌で…触れられる。 「うひゃぁ!?」 ―声に出てしまう。 …構わず、かがみの舌が、耳の辺りまでゆっくりと這い上がってくる。 私の頭のヒューズが何個かトンだ気がする。 ―もう訳が分からない。…さまざまな思考が、 頭の中をぐ~るぐ~るとゆっくり、回転し始める。 …一番の常識人だと思っていたんだけどこんなの絶対違う! あぁぁぁ…かがみが変だ…かがみが変だ…かがみが…… ―耳元でかがみが、ささやくように言う。 「こなたのこと…大好き。」 「こなたと…ずっと…ずっと…一緒にいたい。」 「もう絶対…放してあげない。」 「こなた…。大好きだよぉ…。こなたぁ…。」 ―かがみの放つ一言一言にアタマがクラクラしてるのが分かる。 …あぁ…もう、…どうにでもしてくれていいよぉ…。 …考えるのもメンドクサイよぉ・・・。 ―耳たぶを甘くかまれた後に、強く吸われる。 「ひゃっ!!?」 ―体中に電気が走ったような感覚。 …直後、全身を覆いつくす、脱力感。 …また、かがみの顔が正面に来る。 すでにかがみの目は、とろ~んとしていて、ほっぺたは紅潮している。 ―私も同じ状態なのは百も承知だ。 「キスして、い~い?」 …返事のかわりにコク…とうなずくと、嬉しそうにかがみが唇を塞ぐ。 …もう…抵抗はしない。 …それよりも、この、変なかがみの強烈な”デレモード”って奴を 楽しみたくなってきた。 …これだけひどい事をされてるのに、かがみのことが許せてきた。 …何より、かがみがすごく…かわいく見えてきた。 …とある感情に…気づく。唐突なものではない。 元からソコにあって、いま…ゆっくり…ゆっくり広がっていく感覚。 ―そっか、私もかがみの事が、”好き”だったんだね…。 「ちゅぅぅ…んくぅ…うぁん…んんぅ…。」 「んぅ…ふぁふぁいん。(かがみ。)」 「ん~?」 「ぷはっ…私も…大好きだよ?」 「うんっ!」 「ん~!!!!!??」 ―キスはまだ続く。 fin コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-14 04 34 21) はっ、はなぢが・・・・・・(つ ̄T ̄)ツー -- ぷにゃねこ (2013-01-26 17 39 25) たまらんぐふ -- かがみんラブ (2012-09-24 06 06 16) GJと言わざるを得ない -- 名無しさん (2010-03-31 00 09 19) その辺の18禁同人よりエロくて切ない… -- 七市 (2010-03-30 00 14 18) エロパロスレの作品より官能的だと思った。gj -- 名無しさん (2009-12-05 22 03 35)
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「ゆっくりしていってね!!!」 目の前にゆっくりの一家がいた。 ゆっくり。 人語を解するが知能の低い、生きる饅頭。 その餡子は甘く、非常に美味であることから老若男女に人気のある食べ物だ。 しかし、畑を荒らすこともあり農業を営む者からは疎まれている存在である。 また、家に不法進入をしてきたり、その大きな声による騒音被害もあることから人間の里では害獣に指定されている。 「ゆ?ゆっくりしていってね!!!」 俺が何も返事をしないことを不思議がったのか、同じセリフを繰り返すゆっくり達。 大きいゆっくり霊夢が一匹と、小さなゆっくり霊夢が4匹。 大きいものはバスケットボールほど、小さいものはソフトボールくらいであった。 片親のようだ。 「君達は家族かい?お母さんは大きいれいむだけ?」 「ゆ!みんなれいむのあかちゃんだよ!!すごくゆっくりしたいい子達だよ!」 大きな霊夢、親れいむの話では、交尾した後すぐにもう1匹の親のゆっくり魔理沙は出ていったという。 自身と同じゆっくり魔理沙が生まれなかったためらしい。 なんというやり逃げ。 「れいむたちはゆっくりするよ!おにいさんもゆっくりしていってね!!」 俺が何も食べ物を恵んでやらなかったせいだろうか、興味を失った親れいむは野原でゆっくりし始めた。 俺もゆっくり霊夢なぞに興味はない。 ヘタに関わって付きまとわれたくないので家に帰ろう、と思った矢先、いいことを思いついた。 「なあお前ら、俺の家はここよりもっとゆっくりできるぞ。こないか?」 そして今、俺の家にはゆっくり一家がいる。 「ゆゆ!おにいさん早く食べ物を出してね!こどもたちがお腹すいてるよ!」 「ゆー!おにいさんはやくゆっくちさせてね!!」 「ゆっくち!ゆっくち!!」 当然、ゆっくりさせる気など毛頭ない。 俺は子れいむを2匹ずつペアにして、少し離したところに移動させた。 「ゆ?れいむの子供になにをするの?」 取り残された親れいむが不思議そうな顔をする。 もう用済みだから殺してもいいのだが、特に悪さもしていないゆっくりだったので生かしてあげよう。 それが生き地獄だとしても。 「お母さんれいむはどっちかの子供のほうに移動してね」 「どうしてなの?みんな一緒でゆっくりしたいよ!!」 「ご飯の前にはお風呂に入らないと。一度に5匹は大変だから2回に分けようと思ってね。先に入るほうと後に入るほうでわかれてね」 「ゆ!おふろ!れいむさきにはいりたい!!!」 「ずるい!れいむがさきだよ!!」 「おにいさんれいむたちをさきにして!!」 「そんなわけだから、お母さんれいむ、どっちかに移動してね」 そういうと、親れいむは特に不審に思うこともなく比較的近くだった子れいむの班へと移動した。 これが向こうの子れいむ達との今生のお別れだとも知らずに。 「よーし、じゃあお母さんがいなくても大丈夫なこっちのれいむたちからお風呂だよ!」 親れいむがいないことで少し不満がっていたので、おだててあげる。 単純な頭なのですぐにきゃっきゃと喜び始めた。 軽い体を持ち上げて、俺は奥へと歩きだす。 「わあ!おそらをとんでいるみたい!!!」 「すごくたかいよ!!」 もう生涯見ることのない外の世界を楽しんでいるようだった。 「じゃあここで永遠にゆっくりしていってね」 ここはお風呂場ではなく、台所。 そこに置いてあった鉄の箱に2匹の子れいむを投げ入れた。 「ゆ?おふろは?」 「ここはゆっくちできないよ!」 2匹の子れいむを入れてもあと5匹は入れるくらいスペースが余っていたので、あまり緊迫感がないようだ。 透明な箱ではないので、閉めると中の様子が見えないのだが、今回は好都合だ。 俺は子れいむ達の質問を無視して蓋を閉めた。 中から「ゆっくりあけて!」だの「暗くてゆっくりできない」といったことがかすかに聞こえるくらいだ。 鉄製だけあって、蓋を閉めるとあまり声は届かないみたいだ 俺は居間に戻り、残りの3匹達をさっきの2匹とは別のところに持っていく。 「ゆ?お兄さんここは何?」 「ここはお兄さんの家のお庭だよ」 つれてきたのは中庭。 塀で囲まれており、家の中からじゃないと入ることができない庭だ。 夏まっさかりの今日、中庭は背の高くなった雑草が生い茂りジャングルのようになっている。 「じゃあここで死ぬまでゆっくりしていってね」 ぽーん、と中庭に3匹のゆっくりを投げ込む。 「ゆ!?お兄さんお風呂はどうしたの!?こんなところじゃゆっくりできないよ!!」 「いちゃい!!ゆっくちさせて!!」 「ゆぅうう・・」 着地に失敗した子れいむ2匹が涙目になっていた。 「お風呂はないよ。君達はここで永遠にゆっくりするんだよ」 親れいむが俺に体当たりをしてきたので、全力で蹴り返す。 餡子を撒き散らしながら塀にたたきつけられ、そのまま動かなくなった。 「あら、死んじゃった?まあゆっくりしてけよ」 中庭唯一の入り口を閉じ、俺はその場を後にした。 夕方。 晩御飯の支度を終えた俺の足元には、先ほど子れいむ2匹をつめこんだ鉄の箱がある。 いよいよこれの出番がやってくる。 これは一言で言うなら、ゆっくりコンポストだ。 使用方法はとても簡単。 調理を終えた流し台の三角コーナーには、野菜のいらない部分や割れた卵などが入っている。 これを箱の中にいる子れいむ達に食べて処分してもらおうというものだ。 蓋を開けるとノンキに眠っている子れいむ達がいた。 「れいむ、ご飯を用意したよー!」 ご飯、その単語にピクリと反応し、すぐに目を覚ます子れいむ。 「ゆ!おにいさんはやくここからだしてね!ごはんもだしてね!!」 「おかあさんはどこなの!?はやくあわせてね!!」 お怒りのようだ。 しかし俺はこんなコンポスト達の相手をしているほどヒマではない。 子れいむに振り掛けるように生ゴミを入れた。 「それが君達のご飯だよ。これからずっとだよ。ちゃんと処分してね」 生ゴミにびっくりして何も喋らなかったのでそのまま蓋を閉めた。 ゆーとかやーとか騒いでいるが、さすが鉄製の箱だけあって3メートルも離れたら何も聞こえなくなった。 次の日、朝ごはんの用意で出た生ゴミを捨てようと蓋を開けると、昨日のままの生ゴミがそこにあった。 「ゆ!おにいさんれいむたちこんなのたべられないよ!!はやくだしt」 言い終わらないうちに生ゴミを捨て、蓋を閉める。 働かないコンポストの相手なんてしないものだ。 中庭に回ると、入り口の目の前で3匹が眠っていた。 親れいむは顔がぐちゃぐちゃに歪み、皮はずたぼろ、ところどころ餡子が飛び出しているが生きてはいるようだ。 こいつらは放っておけば勝手に働くだろうから、俺は放置して外に遊びに出かけた。 帰宅する頃にはもう夕方になっていた。 急いで夕飯の用意をし、生ゴミを捨てるためにコンポストの蓋を開ける。 すると、そこには子れいむ2匹の姿以外、特に何も無かった。 昨日と今朝の生ゴミは綺麗サッパリ消えていた。 さすがに育ち盛りの子れいむ達は、食欲に勝てなかったのだろう。 それに生ゴミと言っても、調理後すぐのものであったから腐ってはいなかったはずだ。 「よお、結局食べたんだな。おかわりを用意してやったぞ」 また振り返るように生ゴミをぶちまけ、四の五の言う前に蓋を閉めた。 ちらっと見た感じ、2匹はぼろぼろと泣いていた様子だった。 いきなり閉じ込められてゴミを食べさせられるのだから、その心境は分からないでもない。 どこからか、家に体当たりをするような音が一晩中聞こえていたが、俺はぐっすりと眠ることができた。 「おはよう。ゆっくりしているかい」 朝一番に中庭を訪れると、小さいながらもぷくっと膨れて威嚇する2匹の子れいむと、汚らしい皮の親れいむが待っていた。 「ゆ!おにいさんはやくここからだしてね!!れいむおなかすいたよ!!」 「おにいさんはゆっくりできないひとだよ!!ゆっくりしね!!」 「ぼべべびゅびゅっぼぼぼ!!!」 餡子を撒き散らしながら話す親れいむの言葉は理解できなかったが、とりあえず怒っているということだけは分かった。 子れいむを手にとると、若干痩せた感じがした。 「みんなはもう草刈りの道具だよ。早く草を食べてね!ご飯はそれだけだよ!」 こちらの班は、草刈りを目的としている。 草まみれの庭に放てば、食うものがなくなったゆっくり達は草を食べてくれるだろう。 育ち盛りの子れいむ2匹と、大きな親れいむがいれば、すぐに庭は綺麗になるはずだ。 「やだよ!!れいむ、にがいくさはきらいだよ!!」 「れいむもやだよ!はやくおいしいごはんをよういしてね!!!」 「ぶびっ!!!」 餡子が飛ぶ。汚いなあ。 「草を食べたくなかったら食べなくてもいいよ。お腹すいて死んじゃうだろうけどね」 その前に親れいむは出餡子多量で死にそうだが。 その後もゆーゆー文句を垂れる子れいむ達を置き去りにし、俺は扉を閉じた。 それから、3週間が経った。 ゆっくりコンポストはきちんと働いていた。 開始1週間ほどしたときに、子れいむ達がボイコットをしたこともあった。 生ゴミ以外の食べ物をくれ、くれるまで生ゴミの処理はしない、と。 俺は気にせず毎食ごとに生ゴミを投げ入れた。 2日もすると夏の暑さで溜まった生ゴミは腐臭を出し始め、どこに鼻があるのかもわからないのに子ゆっくりは悪臭に涙していた。 くさいくさいと涙ながらに許しを請う子れいむ達に、俺は一言、早く処分しろとだけ告げて蓋を閉じた。 次に蓋を開いたときには生ゴミは全て消えていた。 真っ青な顔をした子れいむ達を見れば、腐った生ゴミの処分がいかに大変かがよく分かった。 それ以来、腐らせることを極端に恐れ、生ゴミを入れるとすぐに食べるようになってくれた。 今、3週間前にうっかり捨てるのを忘れていたお弁当を、子れいむ達が必死で処分してくれている。 たまに嘔吐し、戻すこともある。 しかし、結局自分で処理しなければならないのだから一度で済ませばいいのに、と俺は思う。 これからも生ゴミの処理をよろしくね、そういい残し、俺は蓋を閉じた。 中から泣き声が聞こえたのは多分、気のせいだろう。 中庭も綺麗になった。 それこそ、最初の頃はニガイだの不味いだの文句たらたらだったが、いつしか諦めて黙々と食べるようになった。 そもそも野生のゆっくりは草や虫が主食なのだ。 何も問題はない。 それにコンポスト組に比べれば広い庭もあるし、子れいむにとっては親れいむもいるのだから幸せだろう。 それに家族だって増えている。 3匹では草が思うように減らないと感じ、おれはゆっくりアリスを加工所からレンタルし、強制的に交尾をさせ続けた。 そしてあっという間に3匹だった草刈り組は30匹へと増員された。 最近は近所で草刈りのアルバイトを始めた。 縄でつなぎ、リボンを人質にとって連日不味い草を食べさせている。 赤ちゃんゆっくりがわがままを言って草を食べない時は、見せしめに親や姉妹の前で皮を引き裂いた。 飛び散った餡子を食べさせると共食いを覚えてしまいそうだったので、一切食べさせることはしなかったが。 今日の出勤場所は、3丁目の田中さんの家だ。 リボンのない30匹のゆっくり霊夢を縄で繋ぐと、俺は家を後にした。 作:アルコールランプ このSSに感想を付ける
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アリスが外出から戻ってくると、なにやら家が騒がしかった。 「ゆっくりしていってね!!」 「おねえさんはゆっくりできるひと?」 「ここはれいむたちのおうちだからゆっくりでていってね!」 そこにいたのは1体のゆっくり魔理沙と数体のゆっくり霊夢であった。 どうやらドアの隙間から入ってきてしまったらしい。 部屋を見回してみると、大きく荒らされていた。 「――上海、蓬莱。こいつらを全部捕まえなさい」 その直後、人形たちがゆっくりたちに襲い掛かった。 「なにするの! ゆっくりやめてね!」 「シャンハーイ」 「ゆっくりはなしてね!」 「ホラーイ」 「ゆっ、ゆっー!」 次々と捕まり、非難の声を上げるゆっくりたち。 程なくして全てのゆっくりたちは檻の中へと捕まった。 「さて、どうしようかしら」 アリスはまるで感情のこもっていない目で檻の中を見つめた。 すぐにでも全員潰すことさえ厭わない目だ。 そうしていたら、1体の黒い帽子をかぶったゆっくりが訴えた。 「まりさはわるくないよっ! はいろうっていったのはれいむたちだよ!」 「「「「「ゆ゛っ!?」」」」」 「だからはやくゆっくりだしてね!」 ゆっくり魔理沙は、生き残るために簡単に仲間を売る。 話には聞いていたアリスだが、あまりの変り身の早さに少々驚いた。 「そう。だったらあなたは、助けてあげようかしら」 そう言ってアリスはゆっくり魔理沙を檻から出してあげた。 嬉しさのあまり、飛び跳ねるゆっくり魔理沙。 「おねえさん、ありがとう!」 そう言うが否や、ゆっくり魔理沙は素早く開いているドアから出て行った。 ゆっくり霊夢たちに、 「ゆっくりしんでね!」 と、言い残して。 翌日、ゆっくり魔理沙は昨日の事をすっかり忘れてゆっくりしようとしていた。 遠くに見えるのはゆっくり霊夢の家族。 「ゆっくりしていってね!」 今日もたくさん遊んでゆっくりしよう。 そう考えながら近づいていくゆっくり魔理沙。 だが、ゆっくり霊夢たちはゆっくり魔理沙の姿をちょっとの間見つめると、全員で体当たりを仕掛けてきた。 「ゆっ、いたいよゆっくりやめてね?」 最初はふざけているのかと思った。 しかし、一向にみんなやめる気配が無い。 それどころか、徐々に激しくぶつかられているようだった。 「ゆっ、ゅゅっ、どうしてそんなことするの?」 そう言うとゆっくり霊夢たちは口々にこう答えた。 「なかまをみすてるまりさとはゆっくりできないよ!!」 「うらぎりものはともだちなんかじゃないよ!!」 「ゆっくりあっちいってね!!」 「ゆっくりちね!」 「まりさはそんなことしないよ! まりさはいいこだよ!!」 「うそをつくまりさはわるいこだよ!」 「ゆっくりできないよ!」 「ほうっておいてわたしたちだけでゆっくりしようね!!」 罵って去っていく家族たち。 ゆっくり魔理沙はその場に立ち尽くしていた。 追いかければ本当に酷い目にあうことが分かったからだ。 しかし、なぜそんなひどいことを言われたのかは分からなかった。 仕方なく巣にもどってみると、巣の中は荒らされていた。 そこにいたのはたくさんのゆっくり魔理沙。 「ここはまりさのおうちだよ! ゆっくりでていってね!!」 「「「ちがうよ! ここはまりさのおうちだよ! そっちこそでていってね!」」」 追い出されないように抵抗したが、多勢に無勢。 果敢に体当たりを仕掛けるが、逆に大量のゆっくり魔理沙につぶされそうになってしまう。 とうとう巣から叩き出されてしまった。 「どぉ゛じでごんなごどずるの゛ぉぉぉぉぉぉ」 「「「ゆっくりのたれじんでね!!」」」 叩き出されたゆっくり魔理沙は、どこか遠くへ行くことにした。 きっとそこならゆっくりできると信じて。 しかしどこへ行っても、 「うらぎりもののまりさがいるんだって」 「おお、こわいこわい」 「ゆっくりしね、わかるよー」 「でていけちーんぽ」 「うーうー」 追い立てられてしまった。 「ゆっぐり゛でぎな゛いよぉお゛ぉぉぉぉぉぉ」 1週間後。 ゆっくり魔理沙はもうずっとゆっくりできていない。 身も心もボロボロになりながら、今日も食料を求めてよろよろと進んでいた。 そのとき後ろから、 「ゆっくりとばされてね!!!」 完全な不意打ちで勢いよく吹っ飛ぶゆっくり魔理沙。 力なくその方向を見てみると、ゆっくり霊夢たちがいた。 その姿を見てゆっくり魔理沙は思い出した。 そして無事なのを見て、 「みんなぶじだったんだね! よかったゆっくりしようね!!」 嬉しそうに駆け寄った。 自分が見捨てた相手だということさえも忘れて。 だから、言われた言葉に本当に驚いた。 「わたしたちをうらぎったまりさなんていなくなっちゃえ!」 「ゆっくりここからでていってね!!」 「もうみんなにつたえたから、どこでもゆっくりできないよ!!」 「もうずっとゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりでていけ!!」 何を言っているのか良く分からなかったが、分かったことが1つだけあった。 自分がゆっくりできないのは、全てこのゆっくり霊夢たちのせいなのだと。 「ゆ、ゆ…こんなひどいことをするそっちこそでていってね!」 「「「「「ゆっくりしね!!」」」」」 口だけは一人前であったが、この数とこの状態で勝てるはずも無い。 全員に囲まれて、あっさりと袋叩きにされてしまった。 「ゆっ、やめでえ゛え゛ぇぇゆっぐり゛ざぜでえ゛ええぇ」 「「「「「ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね!」」」」」 「い゛だい゛い゛だい゛よ゛ぉぉぉお゛ぉ」 ひとしきり痛めつけた後、恨み言を言って去っていくゆっくり霊夢たち。 幸か不幸か、ゆっくり魔理沙は生きていた。 もっとも、生きているのか死んでいるのか分からないくらいであったが。 ゆっくり…したい。 そして気を失いかけていたゆっくり魔理沙の前に、1つの大きな影が見えた。 「どうしたの、そんなにボロボロで」 ゆっくり魔理沙はその影を見上げた。 そこには、あの時自分たちをつかまえて自分を逃がしてくれた者の姿が見えた。 「とりあえず、うちに来てゆっくりしない?」 「ゆ゛…ゆ゛っぐりじだい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」 「何があったのかは知らないけど、そんなに泣かないの。さ、行きましょ」 「ゆ゛っく゛り゛ぃ゛ぃぃぃぃ」 もう2度とできないと思っていたゆっくりをさせてくれる。 ゆっくり魔理沙は力いっぱいアリスに泣きついた。 (ふふ、こんなに上手くいくとは思わなかったわ) アリスは胸の中で微笑んだ。 全ては1週間前からアリスが仕組んだことだった。 わざとドアに隙間を残しておき、入ってきたゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢を捕まえる。 ゆっくり魔理沙が仲間を裏切ったらスタートだ。 「いや゛ぁ゛ぁぁぁぁだずげでぇぇぇ」 「わ゛だじだじもゆっぐりざぜでぇぇぇ」 ゆっくり魔理沙を逃がした後の檻の中は、パニック状態だった。 アリスは優しい顔をしてこう答える。 「大丈夫よ、あなたたちも逃がしてあげるわ。でも、1つお願いがあるの」 「ゆっ…? ゆっくりなんでもするよ! だからたすけて!」 「そう、じゃあ――」 アリスのお願いはこうだ。 ここから出た後に、今逃げていったゆっくり魔理沙がひどいヤツだということを他の全てのゆっくりに伝えてほしいと。 そして、追い出してほしいと。 最初は戸惑ったゆっくり霊夢たちだったが、 「あなたたちを売って逃げちゃったのよねぇ、酷いと思わない?」 「あなたたちは何も悪くないのにね」 「そんな悪い子に仕返しをしてやりたいと思わない?」 というと、反対する者はいなくなった。 アリスはゆっくり魔理沙を自分のものにしたかった。 それも無理やりでなく、相手から自分の方を向くように。 力で押さえつけても心から懐きはしない。 エサを与えたところでエサ役として認識されるだけ。 だからアリスはこの方法を取った。 他のゆっくりたちから追い出させ、自分だけを頼りにするように。 事実、ゆっくり魔理沙にはもう心のよりどころがどこにもなかった。 そんな中で現れた、ゆっくりさせてくれるアリスはまさに希望だった。 これから、外に出ようともせず自分だけを見ていてくれるだろう。 (色々揃えておいたのよ、この日の為に…) これからこのゆっくり魔理沙とどんな生活を送ろう。 アリスの心はどこまでも躍って仕方がなかった。